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さんピンCAMP (ECD×RYUZO)

●そうして、初回のさんピン世代には、一区切りがついた。

E:それに僕は、そういう意味で今回の企画に参加しているわけじゃないから。ただ一応サジェスチョンというか、別に「新しいことをやる」という条件を出したわけじゃないし、「やらせないよ」とか、そんなことを言う権利もないし。

●とはいえ、改めてRYUZOさんが挨拶にくるということは、「本当にやるんだ」ということかと思います。どう受けとめましたか?

E:嬉しいと言えば、嬉しいけどね。まあ、でも、僕はもうあのさんピンで一回燃え尽きているので(笑)。だから、何と言うか、なぜか心労がかさむものなんだ、さんピんは。僕なんてあれでアル中になったようなもんだから。

●それは大変なことじゃないですか。

E:そうだよ。だってあの後みんなおかしくなってるからね。それはYOU(THE ROCK★)ちゃんとかだって。「あの時の熱狂が冷めなくて、1年くらいおかしかった」って直接聞いたことがあるし。あれがあって、営業がやたら増えて、そういうので小銭は入ってくるし、それで「ちょっとおかしくなった」とか、それは色んな意味で。

●色々な意味の、大きな節目だった。

E:実はだって、あの後一年くらいでブッダとかがアルバムとか出してたら全然シーンが違ったんだけど、結局3年くらい出なかったでしょう?だから、やっぱり色々あるんだよね、、

●色々なことを、狂わした。

E:うん、おかしくなったと、思うな(笑)。

R:完全に「忙しくなっただろうな」とは思うんすよね。あれ観たら、「呼ぼう」って思うじゃないですか。オレら、そこからさんピンに出てる人ほとんど京都に呼んでますもんね。呼び狂う(笑)。「これ、ホンモノ観るっしょ」みたいな。

●RYUZOさんは、ECDさんのサジェスチョンはどう受け止めたんですか?

R:名前に恥じないことをしようと思って。ECDさんのところにはオレが話しに行ってるんですけど、その後はavexや裏方の人間とかと、色々さんピンやるにあたって協力が必要な会社をピックして、話してという感じです。しんどいことはありますけど、やりがいあるし、立場としては「弁護士」みたいもの。前に出て喋るのは裏方ではなくオレになってしまうので、色々言われるのは覚悟していたので。

●シーンは相当大きく、層も厚くなっていると思います。

R:そうなんですよ。だから、すごく今、見せた方がいいんじゃないかと思います。あとは「SUMMER BOMB」もやるじゃないですか。フリースタイルブームで「SUMMER BOMB」もあって、そことの兼ね合いもあったりするんです。例えば、オレらがCreepy Nuts呼ぶのはなんか違うというか、それは絶対あっちで出るし。今、フリースタイルばっかり注目されるから、この辺でちゃんと韻踏合組合とか、フリースタイルダンジョンとかで活躍してる人らが、ちゃんとしたライブを観てもらう。そして今回は、Abema(TV)で生放送されるんですよ。チケットは一日で完売したんで、でもやっぱり、もっと観て欲しいじゃないですか。もっともっと観たい人はたくさんいるので、いつも日本語RAPを支えてきてくれた藤田社長に相談して。そしたら「ちょうどAbemaつくったんだよね」ということで、携帯でみんな観れるし、最高やと思うんです。

●出演ラッパーを選ぶ基準は、何か明確にあったんですか?

R:YouTubeの再生回数とかも全部見ています。ぶっちゃけ、それもあるじゃないですか。人に求められているものとか、近々にアルバムを出してたりとか、どれだけ話題かとか。あとは、頼んでOKか、やれる状態なのかとか。それは例えば、SCARSのメンバーがパクられてて、「出てきてんの?」とか。全員揃うなら出て欲しいけど、もうタイムテーブルいっぱいで入れられへんとか。「もっと早く誰か教えて」みたいな、オレらにも予期せぬ出来事があったり。あとは、注目されてても、アルバムないと難しかったり。

●現在進行形で、「今」やってる人たちに焦点を当てていった。

R:やる方にも空気は入れてるんすよ。お前ら、「選ばれたんやで、頼むで」って。「時間とか守って、最高のことやってや!」って(笑)。出る方も、その中から選ばれたというか、出るやつだけでシーンをつくったんじゃないと思うんですよ。色んな、ここに出えへん人らの、屍の上にオレらいるから、「その代表やねんから、お前らわかってるのけ?」というのは、オレが喋ったり会ったりしても「これ、マジやから」って。色んなやつが出たい中で、選ばれてるからって。

E:それは、この前のさんピンでMUMMY-Dがステージで言ってたことだね。

R:そうですよね。ヒップホップってそうじゃないですか。その美学なくしたらクソみたいな奴らばっかりやと思うんです。

●歩いてきた道筋に何があったか。

R:それがオレ、ヒップホップやと思うんで、勝ち抜いたやつでも、そこがないやつ嫌いです。「そこでしょ」、「それ以外何があんねん」って思います。

●ECDさんは、今回のさんピンに出ているラッパーたちをはじめ、新譜は今もチェックされていますか?

E:知らなくはないかな。さすがに、全部CDを買ってるとかはないけど。でもライブはなかなか、一緒に出たことがないと。

R:今はTwitterとかインスタとか、みんな勝手にアップするから、聴こえてきますよね。オレ細かくチェックしてないっすね。自然と入ってくるやつだけです。ボスってたら入ってくるでしょ。まあ、それもダメなんですけどね。フリースタイルの子とかでも、楽曲がカッコイイ子とそうじゃない子がいて、それはジブさんが、「何とかしたい」ってやってますね。

●ECDさんも、当時ブッキングの苦労はありましたか?

E:いや、それは僕は好きで、選んでただけだから。

R:当時、メールとか、ないわけですよね?

E:そう。携帯はあったけど、僕は持ってなかった。

R:その状態でフェス、すごいですよね、もう(笑)。

E:普通に家電(笑)。

R:しかもあの時代、モンスターが揃ってるじゃないですか。今の人らは、結構マネージャーとかも立ててやってるから、まだやりやすいかもしれない。

E:その頃まだね、マネージャーとかいないからそのまま本人で、しかも「金ないんだったらオレに任せてくれ」って言ったYOU THE:ROCK★が仕切れてなかったり(笑)。まあ、それはいいんだけど。

●今思い返して、「ああしとけばよかった」的なことはあるんですか?

E:いや、それはないかな。今ほど広がってないから、そこまで人がいなかったし。

R:そうですよ、当時のヘッズは出演者全員のCD買ってますから。

E:とりあえずはLBと分けて、「FUNKY GRAMMERからはライムスターだけでいいか」とか、そういう雑な括りだけでいけてるから。あとはavex所属の人たちが中心で、ブッダがトリってのは最初から決めてあった。それもavexから言われたわけじゃないけど、僕としてもそう思って。あとは一つ、これは誰も言ってないけど、自分の中で勇気がいったってほどでもないけど、僕より先にやってた人を誰も呼んでないからね。完ちゃんとか、いとうさん、近田さんも呼んでないし、「もしかしたら不義理と思われてることもあるかな」と、今思うとそれはあるよね。

R:ああ、そう考えたら、そうですね。

E:それと昨日気付いたんだけど、86年の7月って「WALK THIS WAY」が出たの。96年7月の10年前、「WALK THIS WAY」は86年の7月4日。だからちょうど10年で、「WALK THIS WAY」がなかったら日本語ラップのシーンってはじまってないくらいの影響力があって。その前にTINNIE:PUNXはやってるけど、あれがなかったらたぶん、ブレイクしてないし。宝島とかでは、僕は読者として、「RUN DMCを紹介するためにTINNIE:PUNXがいる」くらいに見えていた。実際「WALK THIS WAY」がヒットしたから来日もして、みんなそれを観て「じゃあ、始めるぞ」ってなったわけだから。

●ECDさんも、NHKホールでのRUN DMCライブがきっかけですね。

E:本を読んだら、TWIGYもそうなんだよね。それまでも「ブレイクダンス」観てたりとか興味はあって、僕もバンバータさんとか好きだったし、でも「自分でやろう」と思ったのは、やっぱりRUN DMCを観てからで。そういうやつがたくさんいたから、さんピン世代、87、8年くらいに始めてる連中は、ほぼそうだと思うよ。だから逆に言うと、さんピンまで10年かかってるという(笑)。

●10年“しか”、という気もします。

R:10年“しか”ですよ。オレら20年かかってますから。

●今お名前が出た、TWIGYさんはさんピンにいませんでした。

E:そのことは、TWIGYの本にちゃんと書いてあったね。

●やっと、真相が本に出た。

E:色々な噂だけがSNSで飛び交ってて、僕もちゃんとは知らなかったから。だってYOUちゃんが「オレに任せてくれ」って言ってて、そのまま結局来なかったという(笑)。いつちゃんと「来ない」って知らされたのか覚えてないけど、HAZUと一緒にBEATKICKSで出てもらうつもりだったから、「TWIGYが来ない」。「じゃあ、誰に?」ってなって、それで急遽TOKONAを呼んだという。そうしたらavexがちゃんとフォローしてなくて、とってたはずのホテルがとれてなくて、TOKONAが東京に来たのに「ホテルの部屋ないっすよ」って電話がきて、僕がホテルに行ったんだ。前日に。

R:そこでたぶん、さんピンで色々あって、そこからあいつ東京をディスし始めてるんすもんね。オレには当時そう言っとったっすね。ホテルのことじゃないけど、あいつもテンパッてて、たぶん行った時のバイブスが合わなかったんですよね。若いし、イケイケやし。

●とびきりイケイケな頃でしょうか。

R:言っとったもん、「さんピンの時に、、!」みたいな。でもオレらからしたら、「イッコ下の奴がさんピン出てる」って、「なんじゃコイツ!」みたいな話なんですよ。同世代で、オレらより先にCD出してるのはMACCHOとTOKONAだけやから。

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