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Todd Francis

●今までポリティカル(政治的)なモチーフやシニカルで残酷なものなどを描いてきていますがそれはなぜですか?

T:今はPenthouse誌に挿絵を提供しているんだけど、それが楽しい。それはAnti Heroにも同じことが言えるんだ。政治的なモチーフはいつも楽しくやっているし環境問題やこの世界をワルが支配しようとしていることをとても気にしている。学生時代には雑誌や新聞に政治的なことを描くカトゥーニスト(漫画家)になろうと思っていたんだ。でもそれはとても難しい職業だと周囲から遠回しに止められていた(笑)。それが今はPenthouseとAnti Heroでその夢をやっているわけで、政治的なことはスゴく気になるし、世界がより良い場所になって欲しいよね。

●ということはAnti Heroのグラフィックなどをやっている上でみんなに世界で何が起きているかを考えるきっかけになって欲しいってこと?

T:もちろんだよ。スケートショップにそういうモノが並んでいることが面白いことだよね。僕たちみんなの世の中なのに、僕たちのマインドを誘導しようとしている人たちに僕らは見はられているんだ。ちょっとクレイジーな感じだけど、これが僕なりの世の中を良くしていく為の方法みたいなものかな。みんなは考えたくないことかもしれないけれどみんなに考えさせるっていうかね。普通ならスケートショップは政治的な判断を下す場所ではないけれど、まあ僕はきっと変わってるんだろうけど、僕にとってはそういう場所だし、物事がより良くなって欲しい。

●それはやっぱりJulienもそう思っているのでしょうか?

T:うん、そうだね。僕というよりはJulienがそういう面白い方法を僕よりも先に思いついていたんだ。僕たちが作っているスケート・グラフィックで世界を変えていくなんてとんでもなくクレイジーだってお互い笑っているんだ。それに世界は変わらないしね(笑)。でもとても面白いチャレンジだと思うよ。人々の声をいつも聞いてどういう風に伝えるかを常に考えてる。

●あなたが2014年に出した作品集『LOOK AWAY THE ART OF TODD FRANCIS』の中に書いてあったことで、ファーストフード・チェーン店を展開する大企業を揶揄するグラフィック・シリーズをデザインした時に当時のDLXのオーナーの1人であるEric Swensonはもともと政治的なものが好きではなく、そのシリーズは訴えられる恐れもあって良く思わなかったと書いてありました。では今現在、DLXであなたたちの作るプロダクツやアイデアを却下する人はいるんですか?

T:いないね。一番満足させるのが難しい人間はJulienと僕だよ。僕たちが一番うるさい。だからこそ良いものが生まれる。大抵の場合はJulienと僕が好きであればそれで十分なんだ。もちろん過去には軽くトラブルになったものもあったよ。先ほどのファーストフードのやつとかね。でもDLXという会社の中ではこういう事をしろというのは無いし、むしろ背中を押してくれるよ。Anti Heroは今とても好調だから、スローダウンするな、もっと色々やれという雰囲気だよ。最高のカンパニーだよ。

●あなた達はウエスト・コーストがベースなのに『LOOK AWAY THE ART OF TODD FRANCIS』はWINSというニューヨークの出版社から出ていますが、なぜですか?

T:誰も彼ら以外に出版したくなかったからだよ(笑)。WINSのオーナーがスケートボードのグラフィックにとても興味を持ち始めていてTodd BratrudとMarc McKeeのアートブックを出しているんだ。(注:2人ともスケートボードのグラフィックで活躍)

●Tommy Guerreroがホストを務めるYoutube上でのインタビュー・ショーで興味深い質問があったので、今また同じようなことを聞きたいのですが、あなたにとって触れられないトピックはありますか?

T:う~ん、今は無いかな。多分その時は911に関しての質問だったと思うけど、犠牲者の数も多いしあんな破滅的な状況をジョークにする必要はないと言ったと思うんだ。難しい時期は僕にだってあったし、やり方が正しければそれは公平なものじゃないかなと思う。まあ僕が正しいやり方だと思っているだけで他の人にはそうじゃないことがあるかもしれないけど(笑)。 『LOOK AWAY THE ART OF TODD FRANCIS』の本の中で言えば強制収容所の絵があるんだけど、これは多くの人にとって愉快なトピックではないよね。クリスマスカードに強制収容所とサンタを描いて送ったこともあったけどめちゃくちゃ不快だけどすごく面白いと思うんだ。『LOOK AWAY THE ART OF TODD FRANCIS』の中の強制収容所の絵は実はポジティブなんだ。彼らの中には武器を隠し持っていて守衛を殺そうとしている奴らがいるんだ。(表2ページから表3ページに続く絵で)それにすでに1人は殺されていてもう戦いは始まっているんだよ。だからこれは元気が出るストーリーなんだ。強制収容所のジョークを描こうなんて誰かに言おうものなら僕はモンスターか何かと思われるだろうけど、出来上がった絵を見ればそんなに悪くはないなって人もいるね。

●ではHUFのKeith Hufnagelとはどのように出会いましたか?

T:94年にREALのグラフィックを手がけていた時かな。KeithはREALのライダーの前がFUNというスケートブランドのライダーだったから名前は知っていたんだ。彼は当時からREALのライダーの誰よりも自分のデッキグラフィックに対してシリアスに考えるヤツだったからよく顔を合わせていたし、グラフィックに(出身地の)ニューヨークを感じさせるものを求めていた。あれから20年以上、今までずっと彼の活躍を見てきたけど素晴らしいものだと思う。

●HUF HARAJUKUにあなたが作ったピジョンの彫刻がありますが、普段から彫刻をやっているんですか?

T:いや、これが初めてだよ。カレッジに通っていた時以来だね。今回のはすごく大きかったから冒険だったね。今は仕上がったのを見て最高だと思うよ。

●期間はどれくらいかかりましたか?

T:ドローイングから始めて、全てのアングルから寸法を出して2ヶ月くらいで完成したかな。建築家になった感じだね。ドローイングは上から下までパーフェクトじゃなくてはいけなかったし。ボートをデザインしていたみたいな感覚だったね。少しずつ修正を加えながら完成したけどスカルプチャーを成形した人たちの方が僕よりハードワークをしたと思うよ。

●なぜピジョンになのですか?

T:HUF HARAJUKUはサンフランシスコを現しているからだよ。店の前にChina Banks(サンフランシスコの有名なスケートスポット)も再現してあるし、Keithと初めて会ったのがサンフランシスコだし、僕は今はもうサンフランシスコに住んではいないけど、今もサンフランシスコのスケートブランドのAnti Heroのデザインをしているからね。最初にKeithから大きなスカルプチャーを作って欲しいと頼まれて、Anti Heroではピジョンのスカルプチャーを作ったことは無いし、ピジョンというもの自体は僕が描き続けてきたものでAnti Heroのものではないからと話し合って決まったんだ。(注:KeithがHUFを最初にスタートしたのはサンフランシスコである)

●なぜピジョンを描くのですか?

T:始まりはAnti Heroのロゴのアイデアとして描いたからだけど、Anti Heroがイーグルをロゴとして使うようになって、ピジョンは長い間使われなかった。だけど僕はずっと好きで描き続けていたんだ。ピジョンは面白いけど気持ち悪い。でもそれが僕らを現しているようにも思える。可愛いピジョンもいればブサイクなピジョンもいる。頭のてっぺんが禿げているのもいれば脚が悪いのもいる。そしてピジョンは人間の近くで生きている。彼らの生き様が面白くて悲しくてどこか詩的だと思うんだ。ピジョンばかり描きすぎだと思う時もあったけどやめることはなかったんだ。これだけ求められるということは幸いにもピジョンは僕らだけでなく実は多くの人にも意味があったんだけどね。

●サンフランシスコは僕も8年間住んでいた街なのであえて聞きます。それほど大きな都市ではないけど、ThrasherやDLXがあり、シリコンバレー関係のたくさんの大企業もあるしアートギャラリーもたくさんあります。逆に昔からヒッピーがいたり、ホームレスも多く共存しています。あなたにとって、こんなサンフランシスコとは何ですか?

T:僕の人生みたいだね。20代はずっとサンフランシスコで過ごしそこで費やした時間が僕を変えさせてくれた。この業界で働くきっかけとなり、僕にとってファミリーと呼べる人たちと出会わせてくれた”家”だよね。Jim Thiebaud, Julien Stranger, Tommy Guerrero, Frank Gerwerなどは仕事としてだけでなく単純に友達として僕にとって重要な人たちだから第二の故郷だよ。


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