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Bitty McLean & Sly & Robbie 「Love Restart」


Sly & Robbie/Photo by Shizuo“EC”ishii

Bittyの新作が届いた。アナログ・レコードが6曲入りでダブ・ヴァージョン付き、CDは11曲入り。しかもアーティスト・クレジットはBittyとSly & Robbieの並列表記となれば、ここはひとつ3人に話を聞くしかない。

●今度の『Love Restart』は素晴らしいアルバムだね。Sly & Robbieとの制作はこれでEP1枚、アルバム3枚ですね。ずっと彼らと組んでいる理由は?

Bitty McLean(以下、B):彼らぐらいしか僕のことを好きなミュージシャンがいないんだよ (笑) 。冗談だけど。Sly & Robbieとはベストを出させてくれる素晴らしい関係で、お互いにやりやすいんだ。ソングライターとしてもパフォーマーとしても最高だし、お互いにとても幸せだ。それが何よりなんだ。彼らはスタジオでもステージ上でも最高のミュージシャンだし、友人だ。

●今回のアルバムは、いつからつくりはじめたんですか?

B:このアルバムは2年半ぐらいかけて丁寧に時間をかけて制作したんだ。リディムトラックもいいしSly & Robbieが注いでくれたエネルギーに感謝している。Robbie Lyn, Mikey Chung, Guillaume Bougard, そして素晴らしいマスタリングをしてくれたAbbey RoadのAlex Wharton、彼らがアルバムに携わってくれて誇りに思うよ。アルバムは一人じゃできないからね。レコードもCDもとてもいい音がしている。とても誇りに思っている。

いくつかルーツィーな曲があるけど、彼らのトラックがチャレンジを与えてくれて自分のソングライターとしての幅を広げてくれた。今回のアルバムではお互いのベストを生みだせていると思うよ。ハードでルーツなバラードに取り組んで、ルーツ過ぎずラブソングだけではない絶妙のバランスだと思う。

●特に自分で気に入っている曲はどれですか?

B:全ての曲さ(笑)。 アルバムが未完成の時は何度もチェックのために聴くんだ。アルバムのプロジェクトが進行していると、どれが一番好きなのかわからなくなるんだ。全ての曲においてベストを求めるからね。パフォーマンスもミックスもそうだしそれぞれの曲のベストでなければいけないんだ。今アルバムを聴いてみるとしたら「Take My Heart」が一番好きかな。ヴォイシングした当初からSly & RobbieとRobbie Lyn、Mickey Chungの演奏によるリディムトラックがアルバムの一番目、イントロダクションになると思っていたよ。「Take My Heart」は特別なんだ。この曲がなければ、アルバムから何か足りないと感じていたと思う。この曲ができた時アルバムが完成したんだ。

●ツアーでの曲に対するリアクションはどうですか?

B:実は「Take My Heart」はもう1年半ほどUKのラジオでプレイされているんだよ。昨年の9月、アルバムをリリースするつもりでラジオ局に曲を渡してから、急にフィラデルフィアに行ったりして忙しくなってヴァイナルのプレスなど全てを今年に延期にしたんだ。

●今回のアルバムの特徴は曲の後半部分がDUBになっているけど、これは誰のアイディア?

B:それはRobbie Shakespeareからのアイディアなんだ。「War Is Over」と2、3曲をヴォイシングしてラフミックスをRobbieに聴いてもらったんだ。オリジナルヴァージョンはドラムとベースにヴォーカルだけだった。それを聴いた彼はその生の感じをもっと打ち出すべきだと。でも「Take My Heart」や「Babylon Has Fallen」「Song of Songs」らの何曲かでRobbie LynのキーボードやMikey Chungのギターが素晴らしくてアルバムの全体をドラムとベースだけにすることはできなかったよ。だから曲の前半がヴォーカルミックス、後半をダブヴァージョンにすることにしたんだ。アナログも既にソールドアウトして再プレスしているところだ。自分とSly & Robbieの新しいコネクションが生まれたんだ。
「My Call」のアレンジメントが特に気に入ってて、全ての楽器をならしている。そこからダブミックスのモードに入っていくんだ。

●全ての曲のミックス、ダブミックスも貴方が行ったんですか?

B:そうだよ。全てのミックスとダブミックスをやった。ダブをするのはとても興味深い経験だった。オークションで手に入れて改修したアナログの16トラックのミキシングボードがあって、オールドスクールな方法でダブをしたんだ。オーセンティックにね。オリジナルのRevolutionaries、Aggrovators、Soul Syndicateとか、僕はダブミュージックも好きなんだ。

●音楽を作る上で何を一番大切にしていますか?

B:曲のムードを大切にしている。そのムードはSly & Robbieが演奏する音楽によるところが大きい。Sly & Robbieから送られてくるリディムトラックの全てにラブソングが合うとは限らない。だからそのリディムトラックに合うムードを見つけて人々が共感できるメッセージを吹き込んでいる。曲を聴いた人が個人的にその曲に共感できるようにあえてミュージックヴィデオを撮らないんだ。ヴィデオがいつもその曲を象徴してくれるとは限らないからね。曲を聴いたそれぞれの個人のものになるようにね。自分のことばかり書いて自分を満足させるためだけではない。その曲を聴いたリスナーそれぞれに感じてほしいんだ。

●このアルバムではルーツィーな曲も多いですね。

B:Sly & Robbieによるところが大きいと思う。『On Bond Street』はロックステディのアルバムだった。ロックステディでできることは限りがある。もしロックステディのリディムやラバダブミュージックで曲を作っていたら今書いているような曲はできなかったと思う。
Sly & Robbieが与えてくれた音楽的な土台はとても幅広くて、その音楽を聴いて自分に何を伝えてくれるかを感じて書くことができた。よりコンシャスな曲ではリアリティーを歌っているんだ。例えば「Open Eyes」はここ数年ヨーロッパでシリアやリビアからボロボロのボートで死を逃れてきた子供達の遺体が海岸に打ち上げられている。そういう本当の事を歌っているんだ。2018年になっても、まだ戦争がなくならないことや、むしろ戦争が近づいてきているような風聞を伝えなければいけないと思うし、僕たちは現実から目をそらしてはいけないんだ!

●「Babylon Has Fallen」はとてもフレッシュでコンシャスであると同時にとても明るく喜びを感じました。

B:それはSly & Robbieが作る音楽の土台が全てを包括していからだ。だから曲を書いていて様々な側面が出せるんだよ。アルバム『Love Restart』は僕たちができる音楽的な可能性がすごく広いことを示してくれた。”Baby I love you”みたいな曲だけでなく、リリック的にもより深いところを追求することができた。もちろん音楽は楽しむものだけど、考えさせる力もあると思うんだ。例えばGregory Isaacs, Heptones, Curtis Mayfieldたちが世の中に問うような、答えを探させてくれるような面もあると思う。政治家やリーダーが嘘をついたり間違っている方向に導こうとしたり、人々が欲にまみれていることだったり疑問にすら思わないことを、僕らは問う必要があるんだよ。

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