• OVERHEAT MUSIC

STONE LOVEのRORY来日インタヴュー

●RORYさんが現在に主宰するレーベル〈BLACK DUB MUSIC〉ではルーツ・ロックのアーティスト、作品、楽曲が中心になっている理由を教えてください。

R:いや、ルーツ・ロックだけじゃないし、ダンスホールも制作しているし、それに括られない幅広い音楽もプロデュースしている。実際にそうした楽曲や作品もリリースもしているし、リリースを控えている新曲もある。自分のプロデュースした中では、JAH9やSAMORY-Iとかが特に知られているからそう思われるかもしれないけど、ルーツ・ロックだけを制作しているわけではないよ。まぁ、でも、ルーツ・ロックではないけど、ルーツが現在に足らない感じがしていて、それを意識してプロデュースしている部分はあったりはするな。

●ルーツが足らない?

R:自分の話をすれば、自分は〈STUDIO ONE〉の頃からレゲエを聴き始めて〈JOE GIBBS〉とかで育っていて、その時代の音楽はセレクターを始めた時に自分のルーツになっていて、現在もそうした“ファウンデーション”と呼ばれる過去の音楽は自分がプレーする時にもプロデュースする時にも大きく役立っているんだ。現在の若い世代を見ていると、少し自分の世界や価値観に頼り過ぎていると言うのかな、自己中心的と言うのかな、なにかそうした自分のルーツに対する感覚が音楽に携わる時に足らない気持ちにさせられることはあるんだ。

●以前とは違うと?

R:いや、何度も言うけど、別に現在の若い世代に対して何か苦言を言たいわけではなくて、あくまでも長く続けてきた自分が見ていて思うだけのことだ。今の若い世代は自分の頃よりも遥かに賢いのも知っているし、自分の頃より遥かに情報や知識も多くて、それをスマートフォンとかでさらにスピーディーに得ているのも知っている。そうした環境の中で何か新しくやりたいことがあるのも、他から影響されたものを作りたくなる気持ちも理解できる。ただ、そのプレーや音源を聴いていると、自分のルーツ、自分が聴いてきた音楽もそうだけど、それだけではなく、自分が育った国の“ファウンデーション”と呼ばれる音楽も自分のルーツで、それも自分のものだから、なんでそれをもっと有益に使おうとしないんだろうと、思う時はあるね。プレーでもプロデュースでも。まぁ、現在が全てにおいてスピードの時代になっているのは知っている。でも、“ファウンデーション”もだけど、自分のルーツやカルチャーをもっと意識した方が良いとは思う。だって、「それはお前のものなんだぜ、お前にはそれを使える資格も特権もあるんだぜ」ってね。

●それを示すことも意識してプロデュースされているんですね?

R:まぁ、自分の経験からそう感じてね。それだけのためではないけど。レゲエだけでなくスカとかそうした“ファウンデーション”のエッセンスを新しくプロデュース曲にも取り入れることはあるね、そのままではないにしても。ああ、あと、これも自分の経験からだけど、ピアノでもギターでも何でもいいんだけど、何か楽器を演れるようになることはものすごく大切だと思う。音階のキーを理解できていることもだけど、それはプレーする上でも、ダブを録る上でも、プロデュースする上でもとっても役立つよ。

●プロデュース、制作作業は継続的に行われているんですか?

R:ずっとやってる。スタジオもあるし。制作の時に一番気を使っているのはドラム・パターンだな。特にキック・ドラム。いつもドラム・マシーンで新しいビートを作り続けているけど、こうやって(机をトントンと叩いてみせて)わずかの差でものすごく印象が変わるものだからね。あと、エンジニアとしても学び続けている。現在でも実際に教えてもらったりして知識やスキルを上げることに努めている。さっきの楽器の話もそうだけど学ばないとダメだ。

●プロデュースされるアーティストは「無名」「新人」が多いように思います。

R:まぁ、例えば「SIZZLAやBEENIE MANで新曲を録れ」と言われたら、それは簡単なことだよ、自分には。でも、そうした既に名前も地位も確立しているアーティスト達より、誰も手をつけていないアーティスト達の方に興味があるね。ジャマイカにはそうした才能が、本当に信じられないぐらい素晴らしい才能を持ったアーティスト達がたくさんいるし、それを知ってもらいたいし、彼らにもそうした機会を与えたいし。あと、自分がプロデュースすることで注目も集まるから。実際に日本にまで知られているわけだし。

●ジャマイカではプロデューサーやレーベルが発掘したアーティストをマネージメントするケースも多いですけど、それはされていませんよね?

R:しない。JAH9もSAMORY-Iもそうだけど、みんな自分達でキャリアを積んでいけばいいし、そんな「俺のアーティスト」とかそういうのはない。あくまでも楽曲と作品だけの関係でいい。あと、もうそんな自己中心的で、ただただ面倒臭い性格のアーティストと呼ばれる連中を自分でマネージメントする気なんてサラサラ無いよ、そんなヤツは自分だけで十分だ(笑)。

●長いキャリアになりますが、それを続けられる理由、モチベーションになっているものはなんでしょうか?

R:まぁ、そりゃ色々あるよ、面倒臭いこととか。でも、それに疲れたら一ヶ月ぐらい全てのことから離れて自分をリフレッシュさせたりするんだ、田舎に行ったりしてな。辞めることを考えたことは無いし、特に何か今後に大きな野望みたいなものも無いな。ただ、自分にとっては続けていることが当たり前なんだ。いいか?、俺は母親に連れられて4歳からダンスで育ってるんだぜ(笑)。

●ありがとうございました。プレー前の貴重な時間を割いて頂いて感謝します。あと、少し写真を撮らせてもらってもいいですか?

R:いいけど、金払えよ(笑)。

Interview at Yokohama Bay Hall. Sep.13 2019
Special Thanks to Bad Gyal Marie / Mighty Crown Entertainment


ページ: 1 2