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HIP HOP は何処まで行けるか

●パレスチナでは瓦礫の中で持たざる若者がネットカフェに集まって、ラップを聴いて感化され、色んな行動に移していると。

足立:普通のカフェでは年寄りが水パイプをくゆらして、その外れに小さなネットカフェはあって、日本の戦後1台のラジオでみんなで落語や浪曲を聴いていたのと同じで、仕事もすることもないし、集まってくる中で生まれるカルチャーになっています。

K:70年代当時のサウスブロンクスもまさにそういう感じで、ラップとかグラフィティとかブレイクダンスとかが広まって、不良になったり人を騙したり盗んだりするより、パワーのある若いやつがお金をかけずにクリエイティブになれるのがヒップホップの良いところで。

足立:何十年か遅れで、ガザでも売人になるか、ラッパーになるかという状況で。

K:そういうセーフティネットとしての部分を用意したのが、ヒップホップの凄いところかなって僕は思っていて。

活躍しているラッパーって、母子家庭が多いんですよね。やっぱり義憤を感じていたのか、親孝行したいと思う気持ちか、他人の痛みが分かるのか、欠けているものがある分、それを埋めようとして頑張れるのが、ヒップホップの美しいところだと思いますね。
僕も昔は勘違いしてたところなんだけど、ヒップホップは外に向けてだけ発するものじゃなくて、自分に向けて、自分をもっとよく知ろうってことなんですよ。
自分をもっとよく知れば他人のこともわかるし、人のことをもっと思いやれると。自分たちは何者なのか、何のために生まれてきたのか、我々の生活は人間らしいのか、自分で考えることをヒップホップは実はみんなに促してきた。
それを考えたやつがラップをして、世の中の人がそれを聞くっていうのがいい流れだったんじゃないかなと、そう見てます。

足立:まったく仰る通りだと感じてます。
つまり自分のアイデンティティから考え始めて、オレはなんだ、この社会はなんだって一発で入ってくることができるのがラップなんで、革命ですね。

K:ですね。
本当に暴力を使わない革命だと思うので、こんだけ世界に広まってるわけだし。でもまだ広まって30年あまりなんで、あと30年経てばもっと世界は変わってると思いますね。

足立:最も根源的な意識革命が、30年でここまできているのはものすごく早いと思います。

K:戦後の秩序が大国中心だった時代も、当時の途上国、後進国がもはや全部先進国になっていてパラダイムシフトしてるのに、先進国が未だに変わろうとしないから、それに対しての抗議の声がカウンターカルチャーであるヒップホップに乗ってここまで広まるのは当然だろうなと思います。

足立:たまりにたまったマグマを、みんなが自分たちの人種の中で出して、それがマグマで全部繋がっていってるわけですね。

K:白人より有色人種の方が地球上でマジョリティなわけじゃないですか。それなのに白人が支配していることに、みんな違和感を感じている。

D:今ヒップホップの役割って、20年前と比べたら相当大きくなったと思います。

●日本でも貧困が大きくなった。

足立:そういうことだけに限らないのよ。
隠されているものとか、置き換えられてるものを直接見て発信するわけだから、そこにある欺瞞性というか、真綿で首絞めるみたいなことをこの世界はやってるじゃないかって、本当のレジスタンス意識がスタートしていると思うんです。

K:ヒップホップが広がったってだけじゃないと思うけど、みんながみんなに共感したり、他の人の不満や苦境に対して義憤を持ったりってことがしやすくなった時代なんですよね。

D:隠せなくなってますよね。その気になったら追える。

K:でも、大手メディアは見てみぬフリをし続けて、一般の人は、テレビを観て安心したいって人が多い。それは足立監督の世代の大人がちょっとだらしないんですよ(笑)。
申し訳ないですけど、でも、言うことを聞いてたら物価が上がって生活が良くなった世代だからお上を信じちゃうんだろうなって、しょうがないんだけど。
それこそ、さっき言った人権意識というか「奴隷のままでいい」っていう。

足立:結局そこへ帰ってくる。若い世代の方が安倍支持なのも、このままで良いってのではなく、こっちのほうが楽って選択なわけでしょ。

K:日本に昔からあることわざでも、長い物には巻かれろとか昔の人がつくった価値観だと思ってて、納得しないですけど。

足立:そういうのを一つ一つひっくり返していく意識革命が大事で、30年ずっとやってきてそれはもう大変でした。それは、これからもやってかないとだめですよ。

K:骨を拾う世代ってのがここにいるっていうことで、安心してほしいと思います(笑)。
お好きかわからないですが、僕は鈴木邦男さんとも仲良くて、その世代の方々が最近元気なくなっていて、オレたちが下に繋げていくのが一番大変で。

足立:それはもう、よろしくお願いします。僕らもやります。
今回はヒップホップで、「わしらのお祭りをもう一回やりたい」ってのが意図だったんですね。安倍さんは元号も変えて、来年のオリンピックまで全部お祭りで繋いでいるわけですよ。いちいちそんなの反対って言うのも嫌だから、わしらのお祭りってのを打ち続けたい。

K:向こうは向こうで強大な力を持ってるから、それを崩すのは本当に至難の業なんですけど。

足立:こちらからお祭りを打ち続けたら勝てますよ。

K:敏感な大人がもっといればいいんですけど。

足立:ここに来ている人たちは敏感じゃないですか。

K:敏感で、権力のある大人がいないとねえ(笑)。
いくら心がピュアでも、権力が無いとなかなか世の中変えれないのが、世の中のシビアなところだと思っていて。これはもう、DELIと山本太郎に国の中枢に入ってもらって頑張ってもらうしかないなと。

D:いや僕、逃げるわけじゃないですけど、写し鏡だと思いますよ。そういうヒーローというか、リーダーシップを取れる人が出てきたからって世の中が変わるとは思わないんですよね。そもそもそれが生まれる土壌とか、連帯する人もいないと何の意味もないと思いますし。
「DELI君ってリベラル派ですよね」ってよく聞かれるんですけど、そういうラベリングはどうでもよくて。
だって、共産党とかリベラルって言われる人が憲法守れ守れ言ってて、逆に保守の人がすごい変えようとしてるし、ラベリングすることで思考停止になっちゃうから。
飯食う時とかでも会話にならないと、みんなの考えた答えが選挙とかでも出てこないと思います。その時に無関心なんじゃなくて、自分たちに関係のある生活の延長のことであって。
でも、そういう時にアーティストが叩かれて、「語っちゃいけない」みたいになってるじゃないですか。僕がDELIって名前で議員やってるのも、答えをみんなに提示するってことじゃなくて、それ自体が問題提起で、「なんであんなやつが議員やってんだ?」というのをきっかけに、皆さん語ってくださいって。

●まさに、ヒップホップで開拓中の一つの地平と思います。

足立:僕は音楽あまり明るくないけど、ロック以降、政治かどうかってどうでもよくて、全部含めて歌うってことがテーマじゃないですか。それなのに、そういうとこで仕分けするのはおかしいですよ。

D:僕は僕を取り巻く生活の話がしたいだけですし、でもそれが政治になると、人々は誰かの秘書だったり誰かの息子だったりということで、それが相応しいと思って投票するし。
最初の選挙では、「もっと自分の目の前のことを愛してください」って言っちゃって、新興宗教みたいだったんですが(笑)、でも、そこでしかないと思って。

足立:キャッチフレーズとしていいじゃない。それは宗教以上ですよ。

K:だって、目に見えないものじゃない?「愛」って。

D:まさかK DUB SHINEの口からその言葉が出ると思わなかったです(笑)。
愛、あるんですね?

K:愛で爆発しそうだよ。

会場 (笑)

K:DELIは先天的にリーダーシップのある男なのかなと思っていて、世の中に欠けているのはリーダーシップだと思っているんですよ。
 みんな偉くなってトップになりたいとは思うんだけど、リーダ―になりたいやつってイマイチよくわかんないやつが多くて、引っ張っていくやつが増えないと、日本の政治も怪しいなと思うんですよね。

D:僕はリーダーシップじゃなくて、言い出しっぺです(笑)。

●DELIさんは「脱カスタマー」ということをずっと言ってきて、それは「みんな、自発的にやってこう」ということかなと。

D:「脱カスタマー」ってすごく矛盾しているんですよ。
つまり、「僕に1票入れてください」みたいなことは言えなくて、選挙を一生懸命やってる人にはゆるいと言われたんですけど。でも、放射能のワークショップに来てくれてたお母さん方が教育委員会に言ってくれたり、2回目の選挙ではそういう人が自らマイクを持ってくれて、そういう人たちも「この人しかいないんです」とか推薦じゃなくて、自分の話をする(笑)。

●それは本当に、目の前にあるものが愛に溢れている状況じゃないですか。

K:もうちょっと、自分のメディア持ってたり、番組やってるやつとかがDELIを呼んで、ヒップホップと政治とか、我々ヒップホッパーの立場としてどんなことができるか、話さないといけないですよ。


●それにしても投票率の48%(参議院選挙)という数字は、相変わらず、ありえないくらい低い。

足立:まったく、その通りで。何を隠そう80歳の私が、迷うのがバカバカしいと思って、れいわ新選組に入れたんです(笑)。

●国は、監督からさすがに投票権までは奪っていない、、?(笑)

足立:旅券とかは出してくれないけど、基本的人権の部分は一応社会復帰しています(笑)。
そういうことを考えると、DELIさんも「ヒップホップで生きるぞ」って決めて、こうなってるんですよ。
挑発できるリーダーが必要です。
今何が欠けているかって、「自分のアイデンティティを持っていけるか」ということで、そういう意味ではアーティストなんですよ。やっていく中で、アイデンティティというものはできていくんです。これはほんまもんだぞと。

K:だからアートをやる人間としては、割と腹が座っていると思っていて。アーティストってのはどれだけ自由なのかを表現できるかがゴールだと思うんです。そう思わせたいし。
「皆さん自立していますか?」って、経済的に自立できていても、精神的に国とか属している組織から自立しているのか、組織が間違ったことをしている時に「オレは違う」ってこと言えるのか、日本は自由とか正義に対する教育が足りないと思います。要は、臆病にさせて萎縮させて、奴隷主義というか官僚制社会主義になってしまっている。
さっき言ってた人権を重要に感じさせない支配層があって、それは自分たちの既得権益を手放したくないから。

足立:本当に、それが脈々と続いているだけですね。

パレスチナー沖縄ー福島 国際連帯フェスティバル HP
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