• OVERHEAT MUSIC

BUDDHA BRAND × クボタタケシ

●CQさんは、NYでデミさんと会ったことでヒップホップへの理解を含めていった感じでしょうか。

C:そうだね。日本でも聴いてはいたけど、全然そんなに詳しくはなかったよね。
 それでデミが、当時ロッカフェラーセンターで毎朝撮影してたズームイン朝の照明のバイトをやってて、マスターキーがデミを紹介してくれて。

N:最初、マスターと友達になって(笑)。
 照明やってると、「あれ、あの子先週も先々週も来てたな」とか思って。「寂しいのかな?」と思って、それにカラーズみたいな、それっぽい格好してるから「ヒップホップ好きなの?」ってオレから声かけて、「好きなんだー」みたいな話をして。「これこれこういう理由でNYに来て、これからいろいろ学んで行きたいと思う」的なことだったので、じゃあ「とりあえず一服しながら、ミュージック・ファクトリーに行こうよ」って言って連れて行ったの。

クボタ:それ何年だったの?

N:86、7年くらいじゃない?オレが21ぐらいの時だから、88年にはもう知り合ってて、がんがんハウスかかってた。ハウスもよく聴いた。

C:ハウスで踊ってたもんね。ハウスもレゲエも全部聴いてたよね。途中でヒップホップがハウスに負けだして、つまんなくなってヒップハウスみたいになっちゃって、それくらいの頃は厳しかったけど、それも今聴くといいのかもしれないけど。

●そこにコンさんを誰がどのように連れて来るんでしょうか?

N:ヒデ(デブラージ)が働いてたレストランに、マスターがビデオの配達をしてたの。それをやってたらヒデがそこで働いてて、そこでもやっぱり音楽の話が出たんじゃない?たぶん、オレと同じような知り合い方だったと思うんだけど。

C:当時日本人がそんなにいなくて、しかもそれなりの格好しているやつがいないから、見ると「ヒップホップ好きなの?」とか、そもそも日本語喋れなくて寂しいから、自然につるむようになっていくんだよね。

N:特にそれ以上の広がりはないんだけどね。

●その後、ブッダになったじゃないですか(笑)。

C:クラブ行っても、アジア人自体がいなかったよね。観光客もわかるしさ、でも、ナンパしてもすごい嫌われて。

N:だから、マスターに紹介してもらったの。初めて会った時のことも覚えてて、100回くらい名前聞き直して、すげー嫌な顔してた。「何だっけ、君の名前?」って、何回も言うんもんだから。

全員:(笑)

C:オレは「いくつですか?」って敬語使ってて、自分より絶対年上だと思ってて。

N:おっさんだと思ってたもん、オレ。

全員:(笑)

N:「19なわけないじゃん」、「先輩やめてくださいよ」みたいな。5つ離れてるから。

C:「え、年下じゃん」ってなって。

●そこは、外から見ているブッダはコンさんが前面に出ていて、意外な部分でもあります。

N:出たがり屋だからね(笑)。

C:NYにいる頃はそんなでもなかったんだけど、ブッダとして日本に帰ってきて、あいつがしっかりしないとどうにもならなかったから。最初はマスターキーがリーダーだとか、勝手に言ってたんだけど。

N:名前だけのリーダーで、何も進まないってなって(笑)。「ナンニモ専務」ね。オレは「ヘンタイ課長」。そこでヒデは、「オレの役割多いから、取り分も多く」とか言い出して(笑)。

C:下手するとライブの時でも、「オレのバースが長くあるから、その分くれ」って言ってた時あるもんね(笑)。結局はそこまで払ったことないけど、でもそれ言い出したら、デミの名前で来るお客さんの方が多いかもしれないんだから、分量じゃないじゃん。

●コンさんはラップで、デミさんに大きな影響を受けていると聞いています。

C:だから、あいつの本当は思ってなくてもそれを口に出しちゃうことがあるみたいな、わかるでしょ?(笑)

●クボタくんとの関係性でも、そういう部分はありましたか?

クボタ:いや、真面目なんだよね。ハジけるところハジけるんだけど、例えば言っちゃいけないこととか言うと、「お前、さっきのあれ何だったんだよ」とかさ。「いいじゃん、そこ流せよ、お前」とか言うんだけど(笑)。

N:(笑)

C:自分で冗談言っておいて、他の人が言うと冗談が通じない時とかあるでしょ。

クボタ:それで急に「おいクボタ、悔しかったらオレにドーンとぶつかってこい」とか、全然意味がわからないこと言ってきたり。「どうだ、悔しいだろう」、「かかってこい」って(笑)。

N:あいつ、ホント変態なんだよね(笑)。

●では本当にずっと、お互い切磋琢磨し合う関係だったというか。

クボタ:オレは「すごいな」と思ってただけで、ただ作品をオレの方が早くやっただけで、こっちはこっちで。
 でも、テープを聴いた時からこの3人はすごかったから「すげえのが出てきたな」と思ったし、だからこそみんなに聴かせて、やっぱりどんどん行くわけじゃん?
 だからオレは「悔しいな」とか、そういうんじゃなかったけどね。純粋に「すごいな」って。

●ブッダの魅力を、少し詳しく、お話できますか?

クボタ:ラップが3人ともそれぞれ違ってて、それまでの日本語のラップで聴いたことなかったよね。

C:デミとかすごくて、「あ、デミみたいになりたいな」と思っても、同じにならないんだよね、同じことやってるつもりでも、全然。昔ってもう、「どうやってラップするの?」という感じだったじゃない。すごく格好いい日本語でラップする人がいないから、「オレなんかでもできるんじゃないか」って感じで、どうすればいいかわからないウチに、3人とも全然違う感じになったんだよね。なんだかんだ、似たようになっちゃうグループもあると思うんだ。

N:でも3人、共通点はあるよ。

クボタ:言葉のチョイスとか、、

N:言ってること、言わんとしていることが似てるよね。違うワードプレイだけど、パターン的には3人とも一緒というか。

C:つるんでるのは、結構重要だと思うんだよね。しょっちゅう遊んでるとかさ。

クボタ:これはコンにも聞いたんだけど、最初デモテープを聴いた時、デミさんの声がすごいビースティのMCAに似てると思ったの。言われたことない?それか、キング・オブ・プレッシャー。

N:顔は大滝秀治。

全員:(笑)

クボタ:あとはラップももちろんそうだけど、曲のループが「これか!」みたいな。デモテープ聴いた時で「うわ、すげえな」って思ったよね。だから、「これはくる」と思って、すぐにみんなに配って。

●そして、その通りになりました。

N:おかげさまで(笑)。

●ラップの韻やフロウに一番こだわってたのは、、

N:デブラージじゃない?あいつが一番厳しいもん。自分に対しても、人に対しても。

クボタ:ラップで、例えば2人が録ってる時に「これ違うよ」とか言う時あるの?

N:違うの。逆にあいつはオレたちにやられちゃうの。で、やられちゃっても曲げたくないから、すごい頑張っちゃうの。
 もちろんオレも当然頑張ってたけど、オレはただ「自分の声をアナログで2枚がけしたら面白いだろうな」という、それだけ。「1枚アナログ切れたらいいかな」くらいのスタートだったの。

●意気込んで「日本のシーンをつくってやる」とかではなかった。

N:全然違う。人の前に立ってラップするなんて、考えてもなかったけど、ただやってるうちにそうなっちゃった。だから、あいつはオレたちからすごい重圧を感じてたと思う。

C:あいつは3人録った後に、リリックさえ変えてくるからね。

N:あいつ、みんな敵だから。

全員:(笑)

N:「相手にしない」とかじゃないんだよね。「あんなのいいよ」とかじゃない。小物までもライバル意識持つっていうか、小物から大物全部に対してライバル意識持つし、同じグループのやつからまで重圧かけられて。

C:とにかく、「自分のところだけ格好良ければいい」って感じなんだよ。まあ、みんなそうなんだけど、それでもそこに達するまですげえリリックを変えてくるの。昔の金ない時代でも、スタジオ代までかけて変えてくるからね。
 というか、そもそも「どういうリリックやります」とかそういう相談もまったくなくその場で出すから、それぞれ「こうきたか」ってなって、その中で「これはフックでどうにかなるか」みたいな、だからこそ三者三様になるんだけど。

クボタ:それがよかったんじゃない?

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