• OVERHEAT MUSIC

BUDDHA BRAND × クボタタケシ

●トラックは事前に聴いてるんですか?

N: トラックはやつがつくって、その中から「どれ使おう」ってみんなでなって、でもだいたいヒデには「これやりたい」というのがあって、それで手をつけていく感じだね。
ーネタで特に驚いた曲はありますか?

クボタ: 「このネタ、オレは使わない」と思ったけど、実際やったらすごい格好いいなってのはあったね。まあでも、やっぱり『人間発電所』は最初に聴いてビックリした。
 オレはブッダ全盛期の頃、一瞬仲悪かったけど、90年代終わり頃からは一緒にDJもやるようになったけど、DJ以外の時はあいつずっとカウンターに座ってリリック書いてるのね。「もうちょっと呑めよ、絡めよ」って言っても、「ちょっと待ってくれよ」って。

C:それか落書きだね。

N:それか自分の垢でピラミッドをつくってるか。

全員:(笑)

C:それ、タイトルでいいんじゃない?

C・N: 「自分の垢でピラミッドをつくった男」(笑)。

●一応、アルバムの聴きどころとか、ベタな質問をしてもよいでしょうか?

N: 『Kushokan』って曲があるんだけど、あれはもともと『黒船』のアナログに入ってる
スキットだよね。それで、あれ格好いいから、その上にラップ乗っけてみたんだよね。だから、もともとあったインストの曲で、それで7インチも切って。

クボタ:オレは一番最後の曲が好きだった。

C:それは『Matador』で、あと『Kushokan』は新しくオレとデミさんでラップを入れて、デブラージはトラックとスクラッチで参加みたいな感じでブッダということになって。それが最終的には『これもー、、』いや、『これがブッダブランド!!』ってなったんだよね。
 厳密にはデブラージがいないから違うのかもしれないけど、でも「これがー」って、意味深な感じにしてみました。

クボタ:あとさ、このアルバムのジャケットって、オレが一番最初にもらったデモテープの、そのカセットのアートワークなんだよね。だから、これに手描きで色がついてるやつ、最初にもらった。

C:そうなんだ。あのおっぱいのやつが最初じゃないの?知らなかった(笑)。

クボタ:オレがもらったのは94年位だよね。この原画をあいつはコンビニでコピーして、塗り絵みたいにしてたんだね。今回その一番最初のやつがジャケになってたから、ビックリしたんだよね。

C:オレが知ってるのは、あの象のやつ。

N:あったね。あとは女の、DOLEMITEっぽいやつと。

クボタ:象のやつは「噂のチャンネル」じゃない?

C:そうだ!でも中身はたぶん、今聴くともう「恥ずかしくて捨ててくれ」っていう、何が入ってるんだろう(笑)。

●初期であっても作品にはすごいこだわりが詰まっていて、捨てるのはもったいないのではないですか?

N:オレ、全部恥ずかしいから。

C:オレとかも、たぶんすげえ「歌い直した方がいい」って感じだと思うよ。当時はスタジオで1、2回しか時間がないから。

クボタ: 「噂のチャンネル」の頃から格好良かったよ。それにしても、あいつは絵も本当に最初から描いてたな。

C:いつも何かしら描いてたね。喋ってても、ヒマだと特に、ずーっと絵を描いてた。

N:あいつは、学校に必ず彫刻刀でチンポつくるやついるじゃん?チョークでチンポ描いたりさ、クラスに絶対一人いる、ヒデはああいうやつだったよね。

●常に制作意欲が溢れていた、、

C:好きでやってただけじゃない?

N:後で「この制作が金に繋がる」って知ってから、圧がかかったよね。

全員:(笑)

N:だんだん拍車がかかってきて。「オレがやるんだ」みたいな、まったくオレたちの意見は聞かずに。

●逆に意見がすんなり通る瞬間もあるんでしょうか?

N:あるよ。二人で何気なく喋ってて、「ヒデさ、あれはこうでこうでこうだから、オレはこう思うんだよね」みたいな話は、絶対実行してた。あいつ、オレの言ったことに関しては、意外とやってた。
 あいつは、人の話を聞いて、それで信じるんだよね。

●それはデミさんへの信頼の証じゃないでしょうか。

クボタ:それはそうだよ(笑)。

N:そうかもしれないね。まあ、だって、オレもすごいヘッズだからね。

C:そもそもあいつ、ミーティングすごい好きだったよね。

クボタ:あいつ本当にミーティング好きだよね。

N:安心したいんだよ。自分が考えている理想について、他の人がどう思うかっていうリアクションが欲しくて。あと、自分を乗せて欲しいんだよね。

C:意外と影響されやすいよね。雷に「なんでお前らは英語を使うんだ。日本人だったら日本語でラップしろ」とか言われると、デミにも「英語は使うな」とか言い出すし。

全員:(笑)

N:なんでオレなんだよって(笑)。だから『ブッダの休日』は日本語が多い。

C:でもそんなのさ、「オレはこういうスタイルだ」って言えばそれで済んじゃうことを、そう言われたからって「日本語で書こうよ」ってなったりすんだよね。
 今は、「そんなの関係ない」って感じじゃん、いろんな人がいるからさ。そもそも当時は、英語使ったりする人がいなかったんだよ。たぶんだから、オレもラッパーになれたんだと思う。今15歳くらいだったら競争率が激しくて、たまたま、いつの間にかここにいるって感じ。

N:オレだってそうだよ。気づいたらこんなことやってて。

C:「夢はラッパーになること」とか、そんなの全然なかった。

●さっきからコンさんのいい話に着地させようと試みているんですが、全然そうならないんですが、、

C:それは、いい話はできないんだけど、ヒデの悪口を言ってるやつがいたら、オレが怒るよ。そういうことだよ。兄弟みたいなもんだよ。

クボタ:それ、超いいじゃん。

N:オレは、誰かがヒデの悪口言ってたら、もっと教えてあげる。

全員:(笑)

C:家族みたいに、自分は悪口言うけど、言われたら「そんなことないよ。いいとこもあるよ」って、そういうこと。

N:オレなんか仲悪い説あって、全然仲悪くないよ。オレは大好きだよ、あいつのこと。あいつはオレのこと嫌いかもしれないけど(笑)。LOVE & HATEだね。

C:デブラージはNIPPSといる時、おかしくなるんだよね。デミに合わせて、デミが困るくらいおかしくなるんだけど、デミは最初付き合うんだけど、そのうち「何やってんの?」みたいな、イヤになっちゃって(笑)。

N:あいつ、オレのギャグもパクるから。

クボタ:(笑)

C:だから、好きなんだよ。ていうか、いい人だよね。いい人というか、、

N:いい人だった(笑)。

●そして、コンさんが「日本社会に何とかヒップホップを食い込ませよう」という、そこの熱意で実現されたことは、確かにたくさんある?

N:熱意と努力は認める。

C:すごいしてた。

N:あいつのおかげだよ。あとはクボタくん、石田(ECD)さんとか、ファンだってもちろんそうだし、サポートしてくれた皆さんのおかげ。だから今回これが出せたってことだよね。

C:今回はやっぱり、デブラージのトラック。ブッダブランドはやっぱり、トラックが違うと別のものになっちゃう。

N:ブッタブランドじゃなくなっちゃう。

●つくり出す音の完成度には、全幅の信頼を置かれてきたと。

N:聴き慣れているというか(笑)。やっぱりあれだからこそ、ブッダブランドになりやすい。

C:ブッダブランドって、音はデブラージしかやったことないんじゃない?

N:そう。あいつのトラックにNIPPS、CQが乗っかれば絶対ブッダブランドになる。
 サンプリングのセンスは本当に信頼してたね。使い方とか、世界観もいいし。

クボタ:そうだ、一番最初にカセットテープが送られてくるさらに前、あいつのヘッタクソな2枚がけのループがすごい送られてきていて。

C:それはダブルカセットをこう、手マンみたいにカカカッてやって、あいつはポーズ使いの達人なんだよね。カラオケマシーンの、あれを駆使してすごい上手くて、テープ編集がすごい。当時機材もないから、その送られてきてるやつは、それでやってるはずだよ。

クボタ:「これ、すごいループだな」と思ってたら後で使われてたやつもいっぱいあるし。

●クボタくんから見た、デブラージ節みたいな、魅力はどこにありますか?

クボタ: あいつがオレによく言ってたのは、キミドリの『自己嫌悪』がすごい好きで。もちろんファンキーな部分もあるけど、何というか、すごい胸キュンみたいな、、

N:ロマンチストなんだよ。あいつはロマンテスターなの(笑)。

クボタ:だから、『人間発電所』も『ブッダの休日』もそうだし、メローなの大好き。

N:サンプルチョイスがいいよ。あいつの好みというか、「こういうの好きなんだ」って、全部聴いてるとよくわかるよね。かと思うと意外な、ハチャメチャなトラックもつくるし。

C:あれはたぶん、「聴けば誰でもこう使うのかな?」って思うんだけど、たぶん違うんだろうね。

クボタ:そう、違う。

N:今あいつが生きてたらすごいと思うよ。またブーンバップが戻ってきてるから、今つくらせたら機材も変わってきてるし、全然すごいのつくると思う。

クボタ:あいつ、サンプルは意外とごっそりいくんだけど、「これは大胆すぎて使わないだろうな」っていうのも、それをループしてあいつがやると「うわ、すごいハマるわ」っていうのはいっぱいあった。

C:あいつは、機材の操作を「自分でできない」っていうのがすごい強いんだよね。アタマで構築したやつを人にやらせて、普通「これとこれ合わねえや」みたいなのを、人に「うまくやってくれよ」って言うと、その人が無理矢理必死こいてやるじゃん。
 それでその時にすごいことを言うから、最後は「よくやってくれた!」という、すごいのができるんだよね。だから、あいつは逆に、自分で機材を持ってないのが強いんだよね。

クボタ:すごいよね。だってそのループのカセットだって、ターンテーブルを一台しか持ってなかったからできたものであって。

C:カセットのダビングの機能を、こっちでプレイしてこっちで巻き戻して、パッパッてやるのがすごい技で。

クボタ:だから最初に言ったビッグ・ダディ・ケインの編集ビデオとかも、自分で勝手につくっちゃって、それもビデオデッキの機能を駆使して、ケインが大きくなったり小さくなって「クボタ、どうだー」って。

全員:(笑)

N:ヘンタイだよね(笑)。

C:そういうところあったよ。一人の人を喜ばすために、すごい手間をかけてくるみたいな(笑)。そういう遊びの時の方が、もしかしたらすごいモノがあったかもね。

クボタ:それでちゃんと絵まで描いてジャケをつけて、、

N:子どもだよね。ある意味。

●究極の一人を楽しませる行為が、その先で多くの人に届いていく。

クボタ:それは、それがよかったから。それがすごいものだったからだよね。

C:オレはやっぱり昔の印象がすごく強い。体調悪くなってからは可哀想だったしね。

N:あいつ、「ライブの反省会」とか言ってた時もあったよね(笑)。一回も出たことないけど。

C:そんなわりに、リハーサルもやらないという時もあった。「リハはやらない方が格好いい」みたいな(笑)。

N:それで後で怒られるみたいな。よくラッパーが、「オレはリハーサルなしでかますぜ」って言う、それを真に受けちゃうんだよ(笑)。

全員:(笑)

N: 「ラップなんだから落ち着けよ」とか言って。

C:あとリハーサルもやると50人くらい人が来て、普通のショーみたいになっちゃって、終わると拍手とかもらっちゃうんだよ。だからそれを受けて、リハはあんまりやらないか、デブラージがすげえデカい声でリハやって、本番前に声が潰れちゃうっていう(笑)。

●ブッダの中でも全然予定調和はなく、むしろそこにあった緊張感が僕らリスナーにも届いて魅力になっていたという気がします。

C:あいつ一回自分でレーベルやったじゃん?その時に、自分ももともと無茶苦茶で操れなかったのに、いろいろあってしっかりし出したんじゃないかって。
 でも実際ラッパーなんて下の人も言うこときかないから、言うこときくラッパーは面白みが、、あ、でも今だとそっちがいいのかもしれないけど(笑)。でもとにかく、エルドラドから「やっぱり売れないと格好悪い」とか言い出した気がするんだよな。

クボタ:チャートのこととか、オリコンがとか、しょっちゅう言ってたからね。

C:「何位にならないと格好つかない」とか、「いいやつ出せばいいんじゃないの?」って言っても、「いや、何万枚売れないと」とか。

N:だからもともとね、格好悪いやつが格好良くなっちゃたのが失敗なんだよね。

全員:(笑)

クボタ:またそっちいっちゃった(笑)。


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