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【前編】レゲエ・キーボーディスト鼎談、キーボードサミット? 外池満広 + 小西英理 + HAKASE-SUN


●そんなのにはぶち当たってないな。では、ちょうど森(俊也)さんも現れたので入ってもらって、森さんはMattではドラムですけど、この流れでキーボードとの出会いを(笑)。

森俊也(以下、M):僕も幼稚園くらいの時にひとつ上の姉がピアノを習い始めて、年子だったから羨ましくて習い始めたんですけど、小学校5年くらいの時に途中で飽きて辞めるんです。僕は鍵っ子で夕方家に帰るとテレビ番組の「ぎんざNOW!」をやってて、木曜日がコッペさんっていう人が洋楽を紹介してたんです。その頃に流行ってた洋楽が、エレクトリック・ライト・オーケストラとかボストンとかクイーンとかキッスとかエアロスミス、ベイ・シティ・ローラーズも凄かった。言葉は分からないけどそういうのが好きで、ギターが好きになって、ピアノを辞めちゃうんですよ。その後に中学でブラスバンドに入って、僕はラッパ(トランペット)をやりたくて入ったら希望者がいっぱいで、フカイ先輩って人が「お前ホルンやるよな?」って言われて「はい」って(笑)。それでブラバンやってクラッシックも凄く好きになった。中学3年の頃はYMOの「SOLID STATE SURVIVOR」が出た頃ですけど、あれもキーボードで、そこから人生が変わっていくというか、僕もピアノを弾けるから、ブラバンもやりつつクラッシックの勉強もしつつ、YMOの影響でそういうニュー・ウェーブですよね。

T:じゃあ、シンセサイザーにいくの?

M:そうだね、最初はそうだね。

H:最初のキーボードって何を買ったんですか?

M:一番最初に買ったキーボードは、Prophet-600でしたね。

全員:おー。

H:高かったでしょ。

M:それは、中古で10万円くらいでしたね。本当に一番最初買ったのは、高校3年の時にお年玉でデジタル・ディレイだった。KORGのサンプリング・ディレイが出来るSDD-1000かな。その頃は細野(晴臣)さんがサンプリングのテクノをやっていて、「サンプリングはすごいな」って、フィードバックさせていましたね(笑)。82、83年くらいですかね。Prophet-600は、イケベの中古フェアにKORG CX-3の中古で6万円のオルガンを買いに行ったら、あっという間に売れちゃってて「ウーン」ってなってるところにProphet-600があった。大学に入って男の60回払いで買いましたね。まだそのディレイは持ってるけどProphet-600は売っちゃった。

T:良い音だったな。森ちゃんがプロデュースしたKAANAの曲で、Prophetが良い音を出してたのを今でも覚えているよ。

M:そうですね。ずいぶん長い間Prophetは使いましたね。

T:また上手いんだよ。森ちゃんは特徴的な良い音色とフレーズを作るのが。

M:モヤっとした音が得意だからね、シーケンシャル・サーキットはね。モヤっとしたあのポリ・ モジュレーションの音ね。でもDXとかには乗り遅れちゃってさっぱり分からなくて。その頃はクラッシック・ロックとか、そういうのばっかりを聴いていたから。YMOが解散して何年か経った後の僕はニューオリンズ・ファンクばっかり聴いてましたからね(笑)。あとは、戦前ブルースばっかり2年くらい聴いていたり。

T:でもクラッシックの学校だから、並行してどっちも好きな感じなのかな。

M:そうだね並行して。クラッシックの勉強をしながらそういうサイケデリックな音楽が好きだったんだよね。

T:なんでクラッシックからサイケデリックに?

M:クラッシックもサイケデリックじゃん。

T:そうか〜(笑)。

M:オーケストラとかってかなりそういう感じですね。

●森さんは色々な楽器をやるけど、3人はキーボードに拘っているじゃないですか。それは、どうしてなんですか?

T:俺はキーボードしか出来なかったから。さっきちょっと言い忘れたけど、絵の予備校に入ったころに皆んながニュー・ウェーヴをやり始めて、スティール・パルスとかUB40とかがパンクの最先端として扱われていて「なんてカッコいいんだろう」と思ったのと同時に、子供の頃に聴いていたラテンの感触が蘇って「俺のやりたくて一番好きなのはこの世界だ」ってスティール・パルスを聴いてあのフィーリングが戻って来て「これだ!」みたいな。質問の答えですけど、僕はレゲエとそのサウンドの世界がやりたかったんですよ。キーボードを弾きたかったわけじゃなくて、「でも出来る楽器がキーボードだ、じゃあその中で一番レゲエらしい、レゲエが一番美しくなるには自分はどうしていけば良いんだろう?」って、やっぱり最初はコピーです。
アンセル・コリンズもその頃に聴いたんです。大学に入ったばかりの85〜86年にニュー・ウェーブからスカ、2トーンを聴いて、ルーツを調べていくとトロージャンに行きついて、その頃にスキンヘッド・ミュージックにも出会うんです。凄く簡単なフレーズがリフレインしているだけ。Aメロ、Bメロ2回ずつしかやってなくてソロも無い、なのにかっこいい。「俺がやりたいのはこれだ」ってコピーするけどどうしてもああならない。「何でだ」って所から俺の人生が始まって今ここに来ているみたいな感じですね。あんな簡単なメロディー、すぐ簡単に耳コピできるのに、音色なのかタイミングなのかタッチなのかアンサンブルなのか、あのかっこよさにどうしてもならない。

H:あの感じを出すのはなかなか。

T:そう。あの感じを出そう、あの高揚感を共有したい、貰ったからには伝えたいっていうそういう気持ちで、出来る楽器がキーボードで今に至ります。

●HAKASEもずっとキーボードを極めてるけど。

H:外池くんと似ている答えで、それしか出来ないので。歌でも歌えたらそっちの方にいった。

T:俺も本当は歌手になりたかった、シンガーになりたかった(笑)。

H:音楽の表現方法として、上手い歌を歌えたら良いと思うけどなかなか難しくて、ギターは弾けないし、やっぱりキーボード。キーボードってそんなに面白い楽器じゃないと思うんだよ(笑)。色々制限があって、音と音の間、1オクターブ12音と決まっているわけで、その間の音を出そうと思ったらすごく肩身が狭いよね。ギターだったらチョーキングとか、「チュイーン」っていうのがあるけど、それをやろうと思ったら、ピアノだったらグリッサンドって、下からグワーってビロリロリンって、一番外道な弾き方と言われているけど、それが一番バイブスが上がりますね(笑)。

T:いつも体振っているもんね。

H:あれが楽しいかな。ピアノなら楽器のガタイがでかいからクジラと戦っている様なもので肉体労働的なとこもあるし、やっぱりピアノは戦いという感じですね。特に生ピアノは楽しんで弾くものでは無い、僕の中ではね。

T:キーボードの中で何が一番好き?

H:どれも好きだよ(笑)。ピアノもオルガンも好きだし、シンセもピアニカも好きだし、基本何でも好きなんだけど、でもその楽器の一番鳴りの良い所を掴むというか、例えば外池君はオルガンの鳴るポイントっていうのを凄く心得ていると思う。昔から音色のセンスというかその辺、特にハモンド・オルガンが、自宅にあるくらいだから。自宅のスタジオに本物のレスリーがあるだけで凄いんだけど。そこは外池君には敵わないなと俺はいつも思っているんだよね。

T:やけくそですから。そんな事言われるとは思わなかったな。

H:外池君のやるスローな曲っていうのを聴いてみたいな。アッパーな曲が熱いからね。俺もそうなんだけど。

T:そうだね、熱い感じをやりたくてやっているのもあるな。ちょっと話が逸れちゃいましたが。
さらに・・・・

後編に続く)


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