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【後編】レゲエ・キーボーディスト鼎談、キーボードサミット? 外池満広 + 小西英理 + HAKASE-SUN

●次のショーは、Gladdy Unlimitedです。グラディのピアニストとしての魅力みたいなのがあれば。

H:グラディと言えば、ルーツ中のルーツ、本物中の本物。自分も若い頃はあのアルバム『Caribbean Sunset(「It May Sound Silly」の日本盤)』を聴いて非常に影響を受けたし、好きなアーティストなのでコピーしたいんだけど、未だにグラディのプレイスタイルって、何かタイム感が凄くて、この感じって永久に分からないんだろうなっていう感じ。


K:そうですね。分からない気がする。

H:そういう所があるんです。グラディらしい事を逆にやろうとすると陳腐になるというか、「グラディっぽく弾こう」とか時々色気が出たりして狙って弾くと逆に安っぽくなるというか、だからそのグラディをリスペクトする所はそれじゃないな、ただ真似をして弾くっていう事じゃない。

K:例えばフレーズを真似して弾いていても、自分のポジションじゃなくて、他の人の音を聞いて、自分の音を出しるみたいなのがいっぱいあって、小節を跨いでるんですよね。4/4、4/4ではなくて、指揮者みたいな音楽的というか、だから譜面に起こすのも出来ない世界、タイム感もそうだし。

H:だよね。

T:歌っているんだよね。レゲエとかは歌メロを弾くインストってあるじゃないですか、俺よく森ちゃんから、「歌う様にやってよ、歌っていればOKだから」みたいな「歌う」っていうディレクションがよく入るんだけど、正にグラディはそれ、本当に歌っているよね。

H:正にそうだし、割とビートに対してちょっと突っ込む感じというか、ジャストじゃないんですよね。

K:きっと突っ込みたいんだろうなとか。

H:基本突っ込んでるけど、何か凄く間口が広い、そんな感じがするよね。それが何かきっちりした決まりがあるかっていうと、それも無くて。

T:HAKASEは、『Caribbean Sunset』の方だったんだね。俺はハイビスカスのジャケの『Caribbean Breeze』の方。


H:あれも良いね。

T:あの時代にあれが出たって事も良いんだな。ありがとうございます石井さん。あれだったら、万人が好きだって言うと思うよね。

●あれは89年にタフゴング・スタジオでレコーディングしました。いつかアナログにしたい。

H:ドラム&ベースが凄く良いんだよ。

●ドラムは、スティ・クリのクリーヴィなんです。

T:アンセル・コリンズの話がまだ出てないけど、この人こそがレゲエだと思うんですよ。グラディともジャッキー・ミットゥともプレイスタイルが違う。この人達はジャズというか、そういうコンテンポラリーなところがあるけど、アンセルこそレゲエだと思うんだ。理由を言うと、レゲエのひとつの魅力って削ぎ落として削ぎ落として、残ったものは妥協する必要の無い最後に研ぎ澄まされたモノっていうことだと思う。MUTE BEATもそうだけど8小節の簡単だけどよく歌っている印象的なメロディーを作るっていうのがあるじゃないですか。
アンセルのプレイスタイルって本当にそれを煮詰めたものだと思っていて「Double Barrel」もそうだし、「Liquidator」はウインストン・ライトかもしれないけど、8小節のAメロ2回、Bメロ2回、またAメロ2回、Bメロ2回、それだけですよ。ソロも弾かないしインプロもしない、だけどあれだけグルーヴィーで魅力的でソリッドでお洒落でダンサブルで、つまりレゲエそのものじゃないかって思うんですよ。「これだけしか無い要素でなぜこんなにカッコいいんだ」みたいな。例えばイエローマンが同じフロウを2回ずつ言う、キーボードであれと同じですよ。僕らは研究してそうなのかなって思うけど、彼らは生まれつきでこれが出来て、本当にレゲエの魅力を蒸留したひとつの極北の形なのかなって僕は思っている。


H:そんなに際立ったことをするタイプの人じゃないんだよね。

T:だけど(「Double Barrel」は)全英1位でしょ。それこそレゲエの力だと思うんですよ。お前らプログレとかジャズメンにこれが出来るのかっていう話しで。

H:極め付けのシンプル。

T:ホットな感じとしては、ジャッキー(ミットゥ)が一番好きだし、ロマンチックな感じはグラディが一番好きなんだけど、レゲエの美学を貫いているスタイルとしては、アンセル・コリンズとウィンストン・ライトなんですよね。

●アンセルが作曲した「スタラグ」トラックを使ったミックスをYouTubeで検索すると71曲を繋いでいるミックスがあって、それをずーっと聴いていたんだけど、スタラグって飽きない。やはりモンスター・トラックと言われるだけあるんです。

T:オルガンで「ホワー」ってやっているだけだもんね、怪しいよね。どんな人なんだろう。

●アンセルは凄く優しい人です。まだ現役でレコーディングもしてます。

ということで、キーボーディスト3名にMatt Soundsのドラム、森さんも加わった前代未聞のキーボード・サミットともいうべき“キーボード愛”と “レゲエ愛”に偏執、いや溢れる鼎談、最高です。このメンツにエンジニア担当がウッチーこと内田直之である。12月4日が待ち遠しい。


Gladdy Unlimited オフィシャルサイト
http://www.overheat.com/g_unlimited/



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