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Alexis Ross

●ブリックもよく描いていますよね?

A:そうだね、波とブリックはサザンカリフォルニアのキッズの基本だね。当時、僕が例えばパブリック・スクールに通っていて、歴史の授業の時にテキストブックが配られてそれを開けると、最低5年は使い回されているから前にたくさんのキッズがこのテキストブックを使ってきてる。だから表紙をめくると必ず誰かが波を描いていたり、「S」が描いてあったりね。たまに点線でラインが描いてあって、そのラインを繋げていくと『S』が出来上がるんだ。それをすることでブロック体を描く時に必要な3Dの描き方を学べるんだよ。だから色々なドローイングを目にしたりドローイングのやり方を学べたんだ。さらにギャングのライティングとかね。LAのヒップホップとかグラフィティなどのちょっと前の時代のテキストブックにはギャングライティングが描かれていたんだ。もし授業に興味を持っていなかったら、これこそが最初に学校で習うドローイングだ。まだ大人になりきれてないキッズたちの通過する道っていうのかな。そう考えると面白いのは、僕たちは今“RVCA WORLD TOUR”に参加している中年なわけだけど、誓ってもいいよ、今回来日している誰もがあの波の描き方を知っているってことだよ。みんなに波を描いてくれって聞いて回ってみたらきっとみんなが描けるよ。遺伝みたいなものだ(笑)

●2008年にラフォーレ原宿でタトゥーマシーンのワークショップが開催されました。その時に、僕は初めてあなたの絵を拝見しました。その時にはAlexisと会話しませんでしたが、2009年になってロサンゼルスのChoke Motorcycle Shop(スクーターや原付バイクの販売・修理屋。オープン当初はエスプレッソコーヒーも出していた)へ行き、そこであなたと初めて少しだけ会話をしました。Chokeに存在していたのが“Cafe Legs”ですが、あれはどの様にスタートしたのですか?ここ千駄ヶ谷のロンハーマンの中にあるのが“Cafe Legs #3”ですよね。

A:ChokeっていうのはJeff Johnsenのお店で、Jeffはバイクだけでなくコーヒーについても知識があるやつだ。だからJeffはChokeではバリスタでありメカニックでもあった。エスプレッソを作り、スクーターや原付バイクを修理していた。僕はChokeのサイン(看板)をペイントして、よくたむろをしていたんだ。それでJeffがコーヒーの作り方を見せてくれたりしていたけど、時間が経つとJeffはコーヒーを作るのに飽きてエスプレッソマシーンを売って修理屋だけになったんだ。
だから“Cafe Legs”というのは僕のアイデアだ。なぜならその時僕がコーヒーを飲む場所がなくなっちゃったのと、僕には原付なんか超つまらない。だからChokeでグダグダと座りながら次は何をするかと考えていたら、Chokeに来たJeffのお客さんが代金を1杯用のシングル・グループ・エスプレッソマシーンとトレードしたんだ。小さいマシーンだよ。僕はちょうどチリのサンティアゴから戻ってきたときで、そこにはCafe Legsという場所があったんだ。エスプレッソを頼んでサーブしてくれた女性とハグをしてタバコを吸う。まあそれより先はないんだけどね。すごく店頭が狭いんだ。その場所からアイデアをもらってCafe Legsという名前をつけたんだ。だからまあ僕のアイデアとは言うけれど、Jeffと2人で一緒に何かを作ろうという熱意でChokeのバックヤードで初めて誕生した掘っ建て小屋がCafe Legsなんだよ。

●Jeffとはどの様に知り合ったのですか?

A:Aaron Roseが「誰かがスクーターの修理屋をオープンしたらしいけど、そこはエスプレッソを出すみたいだ」って教えてくれて、僕は「そりゃまた恐ろしいことを考える奴がいるもんだな」って答えたんだ。

●ははは

A:バカみたいだろ?でもある日僕がAaronと一緒にChokeへ行ってJeffに会ったんだ。そうしたらJeffはとても若くて良いやつに見えた。というのはあのお店が、そのコミュニティに対してとても良いことをしているとわかったんだ。Jeffはトレンディーなことをやろうとしていたわけじゃなくて、Jeff自身が興味のあることをやって、キッズたちに目を配っていた。あのエリアはタフなシチュエーションで育ったキッズがたくさんいるんだ。

●僕も初めてChokeへ行った時にそれを感じました。車で1ブロック回っただけで家を囲う柵の高さや窓の面格子の物々しさを見てここは危ないエリアだなとすぐに分かりました。

A:その通り。だからJeffはすぐに近所のキッズの面倒を見てやる様になって、あの場所がキッズの立ち寄り場所、要するに安全な場所になったんだ。その直後かな?そんなエリアだから金属を集めて売るどこかの奴がChokeの家具を繰り返し盗んでいた。僕はまだサインペインティグをしていたから家に帰ってスペイン語で“家具に触るな!”って書いたサインを作ってChokeのフェンスに貼り付けたんだ。それからだね、Jeffとより親しい友達になって、他のChokeのサインもやったりしてね、だから今でも親友だよ。

●今でもCafe Legsを作るときは一緒なんですよね?

A:そうだね、Cafe Legsに関することは一緒にやってるね。ただ結局のところJeffはスクーター修理業、僕には本業があったわけだ。だからこれらすべてのプロジェクトは僕らのフリータイムで行われていたことなんだ。僕には養わなきゃいけない家族がいてCafe Legsとアートプロジェクトは二の次なんだ。

●以前本業は何かTV関係の仕事をしてると言ってましたが?

A:そう、僕はこの20年くらいTVコマーシャルなどのプロダクションデザイナーをやってるよ。ロサンゼルスのTVコマーシャルで働く組合員と話し合ったり、美術部門を受け持ったりしてね。だから初めて日本へ来たときはTVコマーシャルの仕事だよ。サッポロのコマーシャルだった。

●ではスケート映像をDVDとYoutubeにアップしたり、アパレルを作ったりしているBoys Of Summerについて詳しく聞かせてください。

A:Boys Of Summerっていうのは映像のタイトルで今は#1と#2と二作品が出ている。要は“スケーター”のグループと“友達”のグループの集まりで、スケートしている時もしていない時もほとんどの仲間が動画撮影をしている奴らだね。僕が思うにBoys Of Summerには今100人くらいがいてみんながフッテージ(映像)をシェアして、Jeff Kutterが#1を編集した。プレミアショーをやってBoys Of Summerのグッズをみんなに投げて配るためにね。僕の役割としてはサポート役だよね。プロダクトのグラフィックは僕がやってる。スケートボード業界の構造っていうのはボードスポンサーやシューズスポンサーからサポートを受けてスケートトリップに出かけるんだけど、その枠に入れてない仲間にBoys Of Summerのプロダクトの収益を仲間のスケートトリップに使ってもらう感じだね。正に友情が基本だよ。だから彼らがスケートとフィルミングをし続ける仲間である限りサポートしていきたいね。それは僕のことをスケート界で再度スポットライトを当てさせてくれたからさ。まあ実は子供の頃にサーフィンだけじゃなくてスケートについても「あんなのクソだ、アホらしい」って言ってたんだけどね(笑)。

●ビデオを編集しているJeff Kutterとはどの様な出会いですか?

A:実は日本で会ったんだよ。StussyとNikeのイベントでAaron Roseと一緒に来日した時だ。KawsとTodd Jamesも参加していて、Aaronから君もサイン・ペインティングに参加しないかって誘われて来たんだ。Jeff Kutterは当時Supremeで働いていて、正確には今もちょっとは仕事してると思うけど、彼はイベントを撮影しに来ていたんだ。何かを一緒にやるまでの仲になるのはずっと後だけど、初めて会ったのは日本なんだ。

●あなたにとってRVCAとは何でしょうか?

A:RVCAっていうのは創設者のパット・テノーリそのものだね。Aaron Roseを介してRVCAを知るんだけど、Aaronは僕のフリータイムを見つけるコツを持つ特殊能力のある初めての男だ。ほとんど忙しくて僕はオファーを断ってきたからね。でも絶妙のタイミングで頼んできたんだ。Aaronだけが僕のことをよく知っていて、僕の首を縦に振らせることが出来たんだ。パット・テノーリは今までに沢山の事を多くの人にしてきた。パットは典型的な面倒見の良い人間だ。彼がCafe Legs #2をやってくれと言ってきた時には、僕は全く興味がなかった。でもパットの助けになるチャンスかなとも思ったよ。今まで彼が他人のためにやってきたことを考えれば、それを受けるに値する人だと思ったし、僕はRVCAからサポートされている多くの人とは違い、今でも正式にサポートされているわけではないし、僕には本業がありそれが僕を支えているしね。RVCAというブランドと繋がっているだけだから完全にパット・テノーリありきで、彼の力になれるなら光栄だし、そういうことを客観的に考えると、パット・テノーリの才能の一つに、彼には人を集める力があるってことだね。外から見ている僕でも明らかに分かることは、彼はアートをサポートしている。もっと言えばポジティブなことであればなんでもだね。
偽りではない、何かに対してとても情熱的な人間を見れば、自分も熱くなりたくなるよね? それに今や本物のサーファーとも知り合えることにもなったぜ。「サーファーなんてクソだ、あいつらは変わり者だ」って僕が毒づいていた奴らと今は世界中を回ったり、コスタメサで一緒にサンドイッチを齧ったりしてるんだもんな、わっはっは。


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