• OVERHEAT MUSIC

SHINGO★西成
「負けない」


Interview by 有太マン Yutaman , Photo by haLu

大阪西成あいりん地区に突如出現したデカイ看板。Twitterに上がったその看板の写真は、あまりのインパクトであっという間に数千ヴュー。その看板を掲出した主は、ご存知、リアリティをラップし続けるSHINGO★西成。いち早くこの写真を見つけたRiddim Onlineは即行で電話をすると「明日、ちょうど東京に行きます!」というのでライター有太マンの都合も無理矢理開けてもらってめでたくインタヴュー成功!!

●今日は「あの看板はいったい?」ということで、インタビューをお願いさせていただきました。

SHINGO★西成(以下、S):やっぱりめちゃめちゃクレージーな看板ってこと気づきました?!(笑)。

●そもそもこれは、いったい何なんですか?

S:イェイヨー(笑)。

●場所は?

S:場所は西成警察署と西成あいりん地区の三角公園の間。昔あの、大手チェーン展開してる居酒屋の笑笑(わらわら)をパクッて、同じ字で「しょうしょう」って名前で店やってた居酒屋が訴えられて、それも全国版のニュースとしてバンバンなってたとこの近く。最近はジャズ・バーもできたけど、はっきり言って裏の方は、これは面白い話として聞いてもらいたいんだけど、オレが「西成一ウマい」と言ってる高架下のホルモン屋の角を曲がったとこの中華屋と、焼鳥屋台の横にそのジャズ・バーができて。オレも噂は聞いてたから、前々日もホルモン食べながら「明後日ジャズバーOPENするねんなぁ」とか言ってて。そしたらその夜、横の焼鳥屋台で口論だけではおさまらずメッタ刺しの殺しが結末。
「ジャズバーにしたら前日に最低のOPENやな!」みたいな…

●それは最近の話?

S:この半年くらい前の話。ひどい…ジャズ・バーがオープンするっていってるのに、横の店で壁に血が飛び散るくらいのメッタ刺しの殺しですよ。ホンマに笑うことじゃないけど、だいたい西成でジャズ・バーするっていうことが冒険やし、「オーナーは地元LOVEな人やな!ホンマにええことするなぁ!」と思てたのに、その前日にそんな殺しで、横の店はブルーシートで隠されて、イヌのおまわりさんいっぱいおるし。そんな、ワケわからんことあったで!

●さすが西成…と言いますか。

S:かと思うと、難波屋(*西成の玄関口にある立ち飲み居酒屋)が奥をみんなで改装して。あそこもよくナマライブをやって、インストゥルメンタルでウッド・ベース弾いて、横でジャズのドラムの人が叩いてる真横に便所がある状況…ベース弾いてる脇でションベン…だったのが、便所がリフォームされて移動しててよかった!と思ってたら、昨日もオレは普通に呑みに行っただけやのにいきなり一曲歌わされて。でも、ジャズの綺麗なシンガーの女の人が歌ってて格好良かった。

●難波屋は音楽に力入れているんですね。

S:入れるというか、入れざるを得ないんとちゃう?みんなの要望というか、アーティストや音楽好きな人「NO MUSIC NO LIFE」な人が集まってるやろうし、その一貫として難波屋が一肌脱いだって感じかな。若いスタッフも増えてきてるし、難波屋は西成では「一番の情報発信基地」で夜22時までの店が24時までオープンしてる日もありで…昔暴動で店も、店の前の道もボコボコにされて、それでも辞めずに営業してる立ち飲み屋なんです。インスタント・ラーメンていねいに作ってもらって、野菜もしっかり入って値段が200円。全然儲からない(笑)。ウーロンハイ、一杯100円やねん。でも3杯300円がセットやから3杯飲まなアカンねん!ベロベロやん!

●そしてその難波屋から西成警察に行く道に、この看板があるわけですね。設営はいつされたんですか?

S:昨日(*取材は11月17日)ですね。

●何のために?

S:まあ、オレしかやれへんやろうと思って…誰もやってないし…

●相当大きいですよね。

S:まあ、東京の看板とかに比べたらめっちゃちっちゃいけど。本来なら新今宮駅というのがあって、そこのマンションの持ち主の人に言うて、3月14日にオレは「がんばろう日本」ていう看板を立てたくて。でもこの看板もそうやけど、実費やんか。事務所に頼んでとかそんなん無理やん。今回のは看板前にパチンコ屋があって、そこの息子と組んで。ありきたりなしょうもない看板出すならみんなの目に付いて元気なるような看板にしょう!「賛否両論くらい覚悟せえや」って。で、本来の目的は、やっぱり西成は日本最大の労働者の街やったのに、その労働者の街が今、生活保護の「福祉の街」になってて。

●皆さんが生活保護漬けになってるという。

S:その変化を炊出しを火曜日と土曜日に手伝ってて身をもって実感したし…

●来る人が減ってる?

S:来る人は1日炊き出し1,200人とか…でも、一般の言葉で言うと街に活気がない。福祉で生きていけて、一回手続きしたら毎月お金入ってくるし、自分で働いて「頑張ろう」という気力や、「疲れたから働いた金でみんなで乾杯しようぜ」という明日への活力が減ってきてる。だってこれ、西成でそれがあるってことは、この何年か前の反貧困のデモとかでも一緒やん。そんなん、もともと何十年前からもこの西成には現実としてある。それは、元々西成が経験してることが全国規模になっただけで、オレらなんかビビれへんしすでに当り前のことやと思ってる。反貧困で、国が動いてどこどこの公園で年末年始炊出しやって、ブルーシートでやってまっせとか、そんなん西成なら元々わかってる話やんか。つまり言いたいのは「西成みたら今後の日本がどうなるかわかる」ってこと…

●社会の縮図だということですね。

S:だってホンマに、西成は日本の皺寄せやから。「しあわせ」と「しわよせ」は一文字違うだけでエラい違いやで!
そのことをオレは実感してるから、あいかわらずアホやけど表現者になったわけやから、「何かしとかなあかん」と…それで地震のこともあったし、この街のこともあった…「いつかやりたい」と思ってたから、ホンマは「頑張ろう日本」をやりたかったけど再確認して何をせなあかんかって言ったら、やっぱり「生きるチカラ」つまり「活気」。「働く」というか、ここの冬のお祭り「越冬闘争」は、言うたら全国の人が出稼ぎに出て西成に辿り着いたりして、博打にはまったり酒や女におぼれたりといろいろあって、さらに仕事がなくなったりして、西成に住むしかないとか、逆に西成が好きで住んだ人とか。テーマが、これは夏もやけど、「安心して働き暮らせる、釜ヶ崎、西成を」ということで、40年以上やってるわけやんか…

●越冬闘争、長いですね。

S:それがやっぱり、昔からこんだけ労働者の街言うとって福祉の街になってるから、ホンマに1人で暮らしてる人多いし、何か「わかりやすい言葉でみんなに気持ちつたえよう」と…オレも色々家庭の事情もあって1人のことも多かったから、やっぱり「いってらっしゃい」、「おかえり」言うのを誰か言う人がいなかっても「ひとりちゃうで!」「おかえり!」って看板みてそう思ってもらえたらいいんちゃうかなって思って看板にそれを書いた。西成でも大阪でも日本でもいいねんけど、やっぱりオレらのこの特殊な街やからこそ「釜ヶ崎」というのを横側に書いて。あとは、「がんばろう日本」はみんな、「もう『がんばろう』言われんでもわかってる」ってなるから、オレが自分でも励みにしてる「勝たんでええねんで」って意味も含んで「負けない」。「勝とう」思たらめちゃしんどいし、それぞれの価値観で勝った負けたは違うからこそ、自分にも人にも、今の現状にも「負けない」というのがわかりやすいなと思って。あとはもっとインパクト、オレはこんな自分の顔なんか載せるのは嫌やけど、「ここはちょっと、恥ずかしい想いしてでも『バーン』といったらオモロいんちゃうかな」と。
しかも、元府知事の橋下さんが市長選挙するっていうので、「ちょうどええタイミングやな」みたいな。ほな、「出馬しないのに選挙ポスターつくったろかな!」って、それだけのアイディアで…「今日一日負けないで帰ってきたで」って看板に向かって言ってくれたらええんちゃうかな!と思った。やっぱり1番は「いってらっしゃい」と「おかえり」を伝えたい!

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