出演者20代限定のレゲエ・フェス開催!?

Text by 茂呂尚浩(Naohiro Moro), Photo by 4eyes

「GOLD CHAMP」「REGGAE SUPER BASH」「SOUL REBEL」と、90年代初頭から多くのエポック・メイキングなイベントを仕掛け、国内レゲエ・シーンを牽引して来たOVERHEATのECが、今度は唐突に、若手のみ出演の野外レゲエ・イベントを発案。時期は4月、場所は日比谷野音だという。とすると時間はもう3ヶ月しかない。  そこで緊急座談会が召集された。メンバーは、笑連隊の高橋ルー、J-REXXX、CHAQURA。そして言い出しっぺのEC、OVERHEATの吉田、聞き手の僕。春に実現するはずのそのステージをイメージし、若手の現状やシーンの展望について語ってもらった。

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●まず企画の主旨と言うか、その辺を石井さんの方から説明してもらいましょうか。

EC:そうだね、まだ企画段階のデタラメな話しなんだけど、、、。
 その前に、みんな、去年(10月)のSOUL REBEL出演はありがとうございました。1曲だけで、バンドじゃなくて皿で、全力疾走で大変だったと思うんだけど。それでね、前から思ってたことなんだけど、あの時も「若手たちに悪いことしてるな」って思った訳よ。もうちょっとやらしてあげたいなと。それで「若い」って言い方がいいかどうかは分からないけど、上が詰まっちゃってるアーティスト中心でイベントが出来たら、オレたちもいいし、そういう出演者にとってもいいし、若いファン層も広がって、何か、いい風にならないかなと。なるかどうかっていうのはオレも確信がある訳じゃないけど、「これはやるべきだ」と思って、、、急ににみんな集まってもらったんだ。”たなけん”にも電話をしたら、どっかに行ってるって、今日は不在で残念です。

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 そこで思い起こすと、90年代の頭頃、大袈裟な言い方するとシーンを作るには、他流試合みたいなものも必要だと思って「GOLD CHAMP」っていうコンテストのイベントをやってた。その頃はレゲエのディージェイも出て、ラッパーも出て、とにかくそういう音楽をやってる人口が今に比べれば圧倒的に少なかったから、アピールする場を作らなきゃって思って。優勝者には10万円賞金出して、チャンピオンを決めてたの。ゴールド・メダルみたいなのも作って。何回かやったんですよ。そこから出て来て今やってる人たちもいるんだけど、NANJAMANなんかもそこにも出てくれたからね。
 そう言う訳で、(シーン全体を盛り上げるには)ウチだけでやっても無理なんで、あっちもこっちもみんながやればいいんだけど、僕は僕で、野音でSOUL REBELっていうのやってるんで、「SOUL REBEL の若い版」みたいのをやりたいんですよ。

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●シーン自体の熟成が進んだというか、25年ぐらいが経過して、かく言う僕自身が20代でレゲエで遊び始めたつもりが、既に40代後半になっちゃてるって事が示す通り、あっと言う間で実感もあんまり無いんだけど、若い世代にとっては先輩がまだ現場にウヨウヨいてやり辛いかもね(笑)。
 でも本来ポップ・カルチャーなんていうのは10代20代の遊びたい盛りの人たちに向けたものなんじゃないかとも思うんだけど、、。あれ、ひょっとして、もうみんな20代じゃなかったりして?

高橋ルー(以下、T):20代です。ギリ20代です。

●そこで若手って言っても10年やそこらやってる人たちがシーンにはザラにいると思うんだけど、そういう人たちの活躍を促さないと未来も無いぞ、と。

EC:まあ、10年ぐらいやらなきゃモノにもならないとも思うんだけどね。

ルー高橋:僕もいつも思ってたんですよね。フェスになると、やっぱあの、ずっとやってる先輩方のお陰でお客さんも来て、そこに僕ら若手を呼んでもらってちょこっとやらしてもらってるんですけど、それだけじゃやっぱ、僕らもレベル・アップ出来ないし、僕らだけで1万人ぐらい呼べる様にならないとダメだな、何て話しはよくしてたんですよね、オレらの中でも。だから(あったら)すごくいい機会だなって思います。

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●とりあえず今日の参加者の年代確認をさせてもらおうと思うんだけど、みんな今の年齢と、レゲエを始めたのはいつ頃?

T:29っす。レゲエを始めたのは20歳ぐらいですね。

J-REXXX(以下、J):僕は25です。レゲエ始めて来年で10年です。地元の岡山で歌い始めて、東京に出て来て5年ぐらいですね。

CHAQURA(以下、C):僕は29歳で、レゲエで歌い始めてからは6年ですね。

●高橋君は出身は埼玉?

T:いや僕、岡山です。

C:僕は姫路です。

OVERHEAT/吉田(以下、Y):あれ、たなけんは?

T:広島です。

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●結構東京近郊で活動してるアーティストは、山陽・中国地方から来てる人が多いのか。今日たまたまか。ちなみに世代的にみんなレゲエの前に聞いてた音楽とかは?

T:僕は中学校ぐらいの頃にハイスタが流行って、インディーズ・バンド・ブームみたいなのがあって、その頃、ずっとドラムやってたんですよ。小6から高3ぐらいまではプロ・ドラマーになろうと思ってて、で、バンドやってたんですよ。でもドラムってひとりじゃ音楽を出来ないんで、ひとりで音楽が出来ないかなと思って「あ、歌おう」って思って始めました。

J:僕もバンド・ブームは一緒なんですけど、人と一緒のものを聞くのが嫌でいろいろ聞いてたんですけど、高校生の頃、怖い先輩とかがパンク・ロックとか聞いてて、それでカリフォルニアの「RANCID」っていうバンドが好きになって、そのバンドと一緒にBUJU (BANTON) がやってる曲があって、それ聞いて「何だコレ」ってなって、、、。その頃、友達で「レゲエのサウンド始める」って奴がいて、僕も一緒に始めました。

C:自分は中学生の頃に家庭教師にギターを教えてもらったのがきっかけで、そこからずっとストリートで弾き語りをしてまして、そこで縁あって知り合ってレゲエを教えてくれた人が柏の人だったんで、以来、柏に拠点を移して、今も柏に住んでます。

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●なるほど。それで、最近どうですか?例えば、同年代で企画したクラブ・イベントとかにも、みんなも多く出てると思うんだけど、そういう若い人たちの現場ではどうなの?お客さんの感じというか、盛り上がってる?

T:そうですね。普段僕らがフェスみたいなイベントでやるのと、小さいクラブでやってることは全然違いますね。もっとアドリブ全開で、ゆったりとお客さんに近いところでやってますから、盛り上げてはいますけど、、、。

●若手はチャンスを得るために、バトルとかクラッシュで身を削ることも多いかとも思うんだけど、どうですか、そういう現場は?

T:楽屋とかすごい雰囲気になってますね。ピリピリして(笑)。みんな普段から知ってる奴同士なんで、一応、話しとかはしてるんですけど、表面だけみたいな。お互い探りあってるみたいな(笑)。

J:そうですね、クラッシュも、例えば「ROAD TO 横浜レゲエ祭」は本当に若手がチャンスを得られる場という感じがあるんですけど、それ以降、いろいろなイベントが増えてやってるうちに、単にその日ひと晩のイベントというか、晒しものみたいになってるものもあって、、、。全然ストーリーもないし、その後の発展性もないものが多くなってきちゃってる様な気がしますね。

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●最初の世代っていうのは、当然、ビジネスになってる訳じゃないし、何にも無かったから、逆に言うと制約も何も無く自由にやれてたっていうのはあると思うんだよね。だから多分苦労も苦労とは思ってないよね、楽しかったから。その分、クラッシュみたいな、身を削る様なことをする必要も、あんまり無かったかもね。

EC:今やっててさ、自分たちに何が必要だと思う?自分のスキルとか、そういったことでもいいし、何が必要なんだろう?

J:僕は新しい音楽を作る発想だと思うんですね。やっぱ今までは新しいことをやると先輩に「お前、そんなのレゲエじゃねえよ」とか言われて来たんですけど、時代の変化というか、ジャマイカから流れてくる音を聞いていると、曲の内容とかもいろんなものが増えてきてるし、言葉選びとかフロウはジャマイカン・カルチャーというか、ジャマイカのものに近い発想をするんですけど、トラックとか内容はいろいろなものを取り入れていかなきゃいけないと思ってます。
 あと、オレ、正直、ぶっちゃけて言いますと、もちろん尊敬する先輩は沢山いますけど、これぐらいのレベルなら自分の方が全然勝てるな、っていうアーティストもいっぱいいるんで、そういう自分のスキルが評価される機会のある場が必要だなと思います。

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C:僕は歌ってて、たまになんですけど「泣きそうになりました」なんて言ってもらえることがあるんですけど、「泣きそうになった」じゃなくて「泣きました」と言ってもらえる様なスキルが欲しいんです。それはまあ、いい歌を作るということに尽きるとは思うんですけど、、、。

T:やっぱオレらもビッグ・チューンと言われるものが欲しいですね。

●ウンコとかチンコとかばっかりじゃなくて?

T:そうですね(笑)。あの曲だったら誰もが知っているっていう様な。

EC:だからREXXXの言うのも同じことかな、言葉を変えれば。「いい曲を書く」ということ。その「いい曲」っていうのも10人いれば10人好みがある様に、中々難しいことではあるんだけど、いい曲はヒットする。そして「いい曲」があれば、他のジャンルの音楽にも勝てる。ライバルにも勝てる。先輩にも勝てる。後輩にも勝てる。そういうことじゃない?

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●今はレゲエの認知度も格段に上がって、商売としての土台もある程度あるんだけど、00年代初頭にメジャーが大量に参入してきて以降、いい悪いは別として、歌謡曲に取り込まれてしまった部分もあり、やる側も聞き手も、層も質も感覚も変わっちゃった。音楽の聞き方も変わっちゃった。そういう状況の中で今後のシーンを継続して作っていく訳なんだけど、、、。聞き手は全ジャンルの中で「売れてるものが優れてる」と思ってるだろうしね。

J:そうですね。今は土台もあるし、日本である程度喰えちゃう分、歌い手は、自分も含めて海外に目が向かなくなって来てるかも知れませんね。昔はジャマイカ長期滞在で、JAROでマイクを握ったとか、言葉も覚えてパトワで曲作ったとか、そういう話しもよくありましたけど、今は国内のことさえやってりゃいいみたいな。でもやっぱり、逆にこれからは外に目を向けて海外でも通用する様な曲を作りたいし、、、。

●何が足りないんだろうね。20代のアーティストの底上げをするって考えたとき。何だと思う。

J:自分が思うに、自分も含めてなのかも知れないですけど、僕らの世代じゃあLEF-Tとかを除いたら、「全部自分たちでやってやろう」って思ってる奴はあんまりいないですね。大体の奴は今のままじゃ大人たちの金儲けの道具ですね。

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