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World Clash 2K7 Game Over
 
Text & Photo by Minako Ikeshiro
 

「Game Over」。すべてのクラッシュ・サウンドが頂点としてきた「ワールド・クラッシュ」(以下、WC)が終わりとなった。歴代のチャンピオン・サウンドが並ぶ中、粘り勝ちで優勝杯を手にしたのは、このクラッシュの顔をも言えるMighty Crownだった。
 
今回は、出場資格を過去のチャンピオンだけに絞り、ジャマイカのBlack KatとBass Odyssey、カナダの Rebel Tone(棄権)、ドイツのSentinel、そして日本の Mighty Crownの5組での取り組みとなった。これは、メジャーなクラッシュに勝ったことがあるサウンドだけが出場できた昨年の“No Title, No Entry”のコンセプトをさらに押し進めた格好となる。全体の流れと「すごいぜ! Mighty!!」な記事はあちこちで読めるし(って私も書いてるけど)、本誌では毎年取り上げているので基本的なルールはバック・ナンバーを参照してもらうとして、本稿ではWCとは何か、というレゲエ専門誌ならではのアングルから07年の闘いを振り返ってみる。
 
「もっとも勝つのが難しいクラッシュ」=「サウンド・クラッシュの最高峰」と言われるのは、いつも波乱含みというのもあるが、審判であるNYの観客のプライドが高いことに起因している。このプライドの高さはWCが始まる以前からキビしいクラッシュ・シーンが存在していることと、観客自体が「自分がどれだけレゲエを知ってるか」を試しに来ている点にもあるように思う。ジャマイカでもその面はあるだろうが、旬のダブがかかればフツーに盛り上がるニュートラルなところがある。NYは「この曲で盛り上がらなかったら何で盛り上がるの?」と、思わず出場サウンドに同情したくなる反応がよくあるのだ。2K7みたいにチャンピオン達の祭典となると、ファーストとセカンド・ラウンドはどのサウンドも定番とブランニューをかけまくって相手の持ち駒を減らす作戦に出る。もう少し長めに聴きたいチューンでも容赦なく切っていき(この戦法がもっとも得意なのは恐怖の5秒切りをやるMighty)、おまけに手持ちダブのレヴェルがハンパなく高いのがWCならでは。もともと話芸で持たせるBlack Katが最初に消えたのは、気合いと準備が足りなかったから。ここまではOdysseyが優勢。

 
見せ場が来たのがサード・ラウンド。昨年、大ブーイングを喰らったSentinelが善戦した後、Masta Simonに代わってSami-Tが80'sルックで登場、ファンデーション攻撃を仕掛けて爆発。こういう筋が通った演出はストーリーを求めがちなNYでウケる。もちろん、選曲の筋が通っていることが第一条件だが。Odysseyもしっかり盛り上げて、ドイツ人がGone。Tune Fi Tuneは日ジャ対決。と言っても、今回は、出身国は(とうとう)関係なかったよう。Odysseyが「この世にいない人のダブ攻撃」で5-0までリードしてから、流れがMightyに行ったのは、99年の優勝以来、過去7回中4回も挑戦しては敗れて来た彼らの不屈の精神がWC固定客に通じたからだろう。5-4まで追いつめた後、どっちがより激しくコケたかで判定勝ちになったのは、ちょっとすっきりしないものの、毎年のようにルールが変わるWCらしいと言えばWCらしい終わり方だった。ラストということで、今年はDavid Rodigan対Ninja-man、Tony Matterhorn対Beenie Manというセレブ・クラッシュもあった。お互いのリスペクトがにじみ出ていたのが前者、Matterhornが個人攻撃に走ってリスペクトもへったくれもなかったのが後者(面白かったけど)。
 
最後に。WCの真のMVPはプロモーターのアイリッシュ&チンだと思う。ジョグリンのダンスの方がよっぽど儲かるNYで、ルール、コンセプト、演出をしょっちゅう変え、各国からサウンドを招聘してシーンを盛り上げたのは、サウンド・クラッシュへの思い入れと、レゲエへの愛情がなければ出来ないことだ。
 
って、2、3年後に名前を変えて戻って来ると予想(&期待)してますが。嘘はつかないけれど、気まぐれなのがニューヨーカーだから。
 

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