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301

A REPOTRT ON THE GLOBAL CONFERENCE

Text by Shinichiro Suzuki
 

Mystic Revelation of Rastafari
 
レゲエの本場ジャマイカでは、音楽業界とアカデミズムの距離も案外と近い。レゲエ月間となった今年2月、現地の最高学府・西インド大学で、世界中からレゲエ研究者・ジャーナリスト・業界人・音楽家を集めて「地球レゲエ会議」が開催された。以下はその報告。
 
2月18日から約1週間にわたるこの会議は、西インド大学レゲエ研究ユニットと社会科学部の主催。招待講演や総勢約70名にのぼるパネル発表あり(筆者も「日本でレゲエについて教えること」の困難と意義について発表)、各種エンタテイメントあり(アルファ・ボーイズ・バンドやミスティック・レヴェレーション・オヴ・ラスタファーライの演奏、ビギーのファッションショウなども)。しかもほぼ毎日が朝9時(ジャマイカン・タイムの、だが)から夜8〜9時までという盛り沢山ぶり。
 
パネル発表から感じたことを4つほど。まず、スカやジャズやメントなどのジャマイカ大衆音楽黎明期について、地元の研究者らがめざましい成果をあげつつある。これまで外国の評論家が占めてきた分野だが、そうした仕事も参照しつつ地元の研究者らが往年のキーパーソンたちから口述を集め、いっそう豊かなジャマイカ音楽史を書こうとしている。
2つめに、ジェンダーやセクシュアリティの視点からの研究の隆盛。ダンスホールに女性の戦略を読み取るいくつかの発表ではタニヤ・スティーヴンスへの言及が抜群に多く、彼女の人気のありかを再認識させられた。質疑応答では、音楽が社会をいかに変えうるかという議論にまで発展し、聴講に来ていたDJのアッサシンが発言する一幕も。
 
3つめ。もはやレゲエは研究の題材としても表現の媒体としても視覚的なものと切り離せない。ある発表は、70年代のアイランド・レコーズがレゲエをロックの聴き手向けに売り出していく上でどんなレゲエ像を構築したのかを、LPジャケットからたどった。別の発表は、キングストンが舞台のレゲエ関連映画の中に、危険な美を放つディストピアというゲットー像を読み取り、グローバル市場ではそうした像自体が娯楽鑑賞用に消費されていると指摘した。また、コンピュータアニメ作成の教材をカリブの学生の日常に合わせるためにソフトの中でレゲエを用いるという興味深い試みについての発表もあった。
 
4つめに、とくに業界関係者のパネルでは、ウェブでの合法的な楽曲配信においてジャマイカのプロダクションやアーティスト自身が主導権を取ることの大切さが強調された(7インチ市場のことはほとんど話題に上らず)。
以上がパネル発表の感想。招待講演の顔ぶれも豪華で、レゲエ・アーキヴィストのロジャー・ステファンス、古典的名著『Jah Music』のセバスチャン・クラーク、話題の著『Dub』の音楽学者マイケル・ヴィール、日本のレゲエについて調べておりいずれ本も出るという人類学者マーヴィン・スターリングなど。
 
ある意味でこれはレゲエによるジャマイカ発展を志した「産学協同」会議だったわけだけど、日本でいうそれとはかなり議論の熱気が違う。フロアからの発言者含めて各人がレゲエについて一家言持っており、次々にマイクの前でそれを披露する姿は、まるでラバダブの場に居合わせたかのようだった。
 

Dermott Hussey, Klive Walker, Roger Steffens (L to R) /
Alpha Boys Band, パネル発表の模様

 

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