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301    COLUMN    UK REPORT

Photo & Text by SIMON "MAVERICK" BUCKLAND

Mutabaruka 
 
Greetings Friends,
 
●僕は度々、「VPは世界中のレゲエ・マーケットを牛耳りたいようだ」と冗談半分に言ったことがあった。どうやらこれが現実のものとなりそうなのだ。TrojanがSanctuaryの舵取りを失敗したため、ユニバーサル傘下になったのはご存知だろう。今度はGreensleevesが310万ポンドでVPに買収された。Greensleevesは創始者、Chris CracknellとChris Sedgewickにより2006年3月、Steve Weltman率いるZestに売却されていた。しかし、音楽業界の景気が急激に悪化したせいで、Zestは利益を出せずに苦しんでいたのだ。Greensleevesの新たな売却先として、旧譜を専門に扱うレコード会社3社が興味を示していたようだ。
 
しかし、Greensleevesがもしそれらの企業に買収されてしまったら、歴史あるレーベルの音源が、ガソリンスタンドで売られているような廉価版CDとしてのみ発売されるという悲しい未来が待っていた…。そこにVPが白馬に跨った王子のように颯爽と登場したというわけだ。NYに拠点を置くVPは、GreensleevesとJetstarの競争相手でも好敵手でもあったわけだが、Jetstarが消滅してしまった今では、彼らが世界のレゲエ・マーケットを支配することになるだろう。VPはマーケティング、宣伝、そして他ジャンルへの売込みが非常に上手い。同社は単にレコード市場ばかりではなく、レゲエ音楽を統括するような圧倒的な勢力になるに違いない。これによって行き場が狭まったのは、VPに所属していないアーティストやプロデューサーだ。おそらく、彼らはウェブを主な販路とするインディペンデント・レーベルをたくさん立ち上げるに違い。どんな風にマーケットが変貌していくのか、僕らにはしばらく見守るしかない。
 
●Mighty Diamondsのショーを、現在住んでいるフランスで観た。彼らはMakasoundからリリースされた最新作『Inna De Yard』のプロモーションも兼ねたヨーロッパ・ツアーの一環で、フランスにやって来たのだ。グループ結成から40年近く経過しても、彼らの素晴らしいヴォーカルは健在だった。それに、「Tamarind Farm」「Heads Of Government」「Long Time」など、僕が今まで一度もライヴで聴けなかった曲を演奏してくれたのだから、うれしさ倍増だ。無神経なフランスの主催者のせいで、メディア関係者の僕が入場するのにかなりの労力と時間(The Diamondsが僕のことを「家族だ」と言ってくれてもだ!)を要したが、それ以外は文句なしに楽しいライヴだった。
 
●最近、宝物のVHSの映像を保存するために安価なDVDレコーダーを購入した。僕の家は川のそばにあり、かなり湿度が高い。中には25年前のテープもあり、劣悪な環境の中でダメになってしまったものも多い。残念だが300本近いテープを破棄しなければならなかった。僕のVHSコレクションには、ジャマイカに関しての音楽&政治ドキュメンタリーやライヴ映像が多数ある。『Beats Of The Heart - Roots Rock Reggae』(1977) 、『Deep Roots Music』(1982)、『Reggae Sunsplash 1982』といったライヴの他、1994年までに制作されたドキュメンタリー(『Stir It Up』『Yardies』『Travelogue』『Omega Rising - Women In Rastafari』『Darker Side Of Black』)なども見つかった。これらの映像を改めてチェックして感じたことがひとつある。
 
それは、映像を制作した監督が、当時のレゲエ音楽界において誰が重要であったかを知らなかったことだ。ほとんどの監督が撮影中にたまたま撮りやすかった人物や出来事ばかりを追っているのだ。例えば、高評価の『Deep Roots Music』シリーズでは、Lee Perryの奇行やCount Machuki、そして街中の不良少年たちにかなりの時間を費やしている。Annie Lennoxの夫により撮影された『Stir It Up』はマンネリ化した映像のオンパレードで斬新な切り口は見当たらない。1982年の「Sunsplash」の映像はMutabaruka、Chalice、Marcia Griffithsらをジャマイカ以外に売り込む、という目的があったらしい。
 
だからといって、The Mighty DiamondsやIsrael Vibrationがほとんど登場しないのはおかしいではないか。初期の「Sunsplash」映像の重要性は、1981年にBob Marleyが死去するまで認知されていなかった。「Sunsplash」はレゲエの黄金時代といわれていた1977年にスタートしたのだから、悔やまれずにはおれない。繰り返しになるが、これらの映像は今となっては大変貴重だ。今では映像でしか見ることができないアーティストが、多数出演していることを考えると非常に残念だ。

 Till Next Time, Take Care................
(訳/Masaaki Otsuka)


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