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Little Tempo
Mountain, Ocean and Sunshine
 
Interview by Hajime Oishi
 

メンバー各自の課外活動も盛んなLittle Tempo。オリジナル・アルバムとしては3年ぶりとなる『山と海』は、新たに立ち上げた自身のレーベルからのリリースとなった。結成15周年目に発表されるこのアルバムの内容を、土生“Tico”剛に訊いてみることにしよう。
 
4月某日、東京・吉祥寺。Little Tempoの土生“Tico”剛に話を訊く。会話は脱線に次ぐ脱線。ただし、そのなかにポロリと本音が飛び出してきたりするので、インタヴュワーはなかなか気が抜けない。つまり、こんな具合である。
 
——今年は結成15周年なんですよね。
土生「たまたま15周年だったからさ(笑)。美味しいじゃん、オレはそういうのは逃さないよ(笑)」
「たまたま15周年」という言葉が本心かどうかは分からない。だが、“いい音楽を作る”ことだけを目的に活動を続けていたら、案外そういうものなのかもしれない。そう考えてみると、少しぶっきらぼうに思えるこの言葉が、とても真摯なものにも思えてくる。
 
今回の『山と海』というアルバムは、新たに設立した自身のレーベル、Sunshine Recordsからの初リリース作品となる。セルフ・レーベルを立ち上げたことは今作の内容を大きく左右したようだが、まずはレーベル設立のいきさつを。
 
「これからは自前でいこうや、と。自転車操業でいいじゃないか、パンクもするし、ギアも外れるけど、直しながらいこうと」
 
あえて「じゃあ、今まではやりたいことが出来ていなかった?」と訊いてみると、「いや…なんでそんなこと訊くのよ!(笑)」。これまでだって、Little Tempoはやりたいことをやってきたはずだ。そうでなければ、毎回オリジナル・アルバムとダブ盤をセットで作り続けるような制作スタンスを貫くことなど出来なかったはずだし、あんなに過激なライヴ・アルバム(2006年の『Little Tempo Live & Direct 1369』)だってリリース出来なかっただろう。インタヴュー同様に脱線してしまうが、土生はLittle Tempoの田村玄一、Buffalo Daughterの大野由美子と共にSunshine Love Steel Orchestraを結成し、昨年からはライヴ活動もスタートさせている。このユニットは「3人の演奏だけで成り立たせようっていうのが基本」としていて、それと同時にスティールパンのワークショップも開催している。
 
「パンをやりたいっていう人は多いじゃないですか。ただ、パン自体が手に入りにくかったり、みんなすぐ始められない環境にあるからね。俺たちも一緒に演奏したいと思ってるし、なかでもイケてる子がいたらライヴを一緒にできたらなって。可愛い女の子を4人ぐらいオレの横に並べて…そういう夢は持ってますね(笑)」
 
脱線ついでにもうひとつ触れておくと、昨年はLittle Tempoが主催する「Space Tropical Night」があった。このイヴェントにはCaribbean Magic Steel Orchestra、dj KENTARO、Hemo+Moofireが出演している。なにを言いたかったかというと、去年あたりからLittle Tempoおよび土生“Tico”剛は、これまで以上にやりたい放題やっている、ということ。
 
さて、話を戻そう。『山と海』のなかでも特筆すべきは、ジャケットを含むヴィジュアル周りすべてを土生が手掛けているということだ。

「今回は僕のトータル・プロデュースですもん。写真の選びから構図から。そこまで突っ込んで、すべてやりたくなっちゃったわけ。ジャケットも、全部。やり始めたら止まんなくなっちゃった。(ジャケットやインナーなどを日本各地の自然の写真で構成した理由について訊かれて)…イメージが大自然だったわけ。出てきた音が、壮大で雄大だったからね。音を作ってたのは吉祥寺だし、ラフは子供のおむつが干してあるオレの部屋で作ったんだけど(笑)。あまりにもリアルすぎて、ひとつの憧れとして大自然に向かっていったのかもしれない」
 
『山と海』は、すごくすっきりしたアルバムだ。無駄なところが一切なく、必要な音と要素だけで構成されている。軽くはないが、軽やか。ラヴァーズ調のものも、Little Tempoらしいトロピカル・ロックンロールも、ひとつひとつの音がぴょんぴょんと楽しげに飛び跳ねている。
「気分すっきり、壮快に行こうじゃないか、と。心は日本晴れ。今回はひねってないよ。もう、直球。ズバッ!って」
 
どうして、今回そうした方向に向かっていったのか。あの手この手で聞き出そうとしたのだが、土生はなかなか見出しになりそうな言葉をくれない。きっと「そんなに考えてないんだよ(笑)」というのが本当のところなのだろう。ただし、少し穿った見方をするならば、ひとつひとつを理由づけていくようなコンセプチュアルな作品作りから遠ざかるため、Little Tempoは現在のように自由な制作環境を求めた、そうも思えてくる。そして、結成15年目の節目となる2008年、Little Tempoはささやかで穏やかな転機を迎えようとしているのかも、と。『山と海』に詰まった健やかなヴァイブレーションは、僕のようなやっかいなリスナーにもそんな連想を働かせたりもする。
 
最後に、これまた余談。お子さんがいることって、音楽制作するうえで影響します?
「ありますよ、そりゃ。曲作ってるとオレの邪魔ばっかするんだけど…愛してるからね(笑)」
じゃあ、今回のアルバムで息子さんに捧げた曲もあったり?
「そんなこと言わせないでよ、泣いちゃうから(笑)」
 

"山と海"
Little Tempo
[Sunshine Records / SUNCD-001]

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