リディム・オフィシャル・ウェブサイト
THE MAZE

THE HEAVYMANNERS
JUST REBEL
　
Interview by Takashi Futatsugi / Photo by Sho Kikuchi
　

Dry & Heavy、そしてRebel Familiaの創始者である“Heavy”こと秋本武士のレゲエ・バンド＝The Heavymannersが初アルバムをリリース。長年の夢だったスライ・ダンバー他とのジャマイカでのセッションを今回実現させた彼に早速話を訊いた。
　
　「このバンドでの初ライヴは、『Fuji Rock Festival 2002』でのShing02 & The Heavymannersとしてのステージでした。やっぱり、人間性重視でメンバーを選ぶと、やりたいことをやれるようになるまで時間がかかる。だからドラヘビの時はテクニックを重視したんですが…今回はレゲエ同好会じゃなく、人間的な付き合いから始めて。10年を１年で走る…それくらいの気持ちで練習してます。現状トラックからアレンジを含めて全部俺がやっているので、ある意味ソロかもしれない。だけど、それもドラヘビ以降ずっと俺がこうした直球のレゲエ・バンドをやることを待っていてくれたファンのために一切の妥協をしたくなかったからで。だから、ジャマイカでのセッションも重視したんです。まず、自分が惹かれたかつてのレゲエがまだ残ってるのか、といことを自分の目で確かめたかった。で、実際にそれはあったんです！
　
　鱗がボロボロと落ちるくらいのものが。パーカッショニストのスカリー、スカイジュース、元レヴォリューショナリーズのギタリスト、ラドクリフ・ブライアン、そして アンセル・コリンズとのセッションも熱かった。エリート中のエリートらしく、みんなストイックでシビア。必ず１テイクで決めてくるんです。特に“長老”のスカリーからは色々と学びました。そもそもオーヴァーダブではパーカッションの録りをメインとしてたんですけど、それによりリズムはかなり強化されました。でも、スカリーからも『スライとフリー・セッションするなんて無茶だ！』と警告されて。2時間遅れで現れたスライは、凄い殺気立った感じで、無言でドラム・セットを組み立て始めたんですよ。で、俺はウォーミングアップにひたすら持てるベースラインを弾きまくって。
　
その内にスライも『お前、そんなの知ってるんだ？』って声を掛けてきて。それで行こう！と決めて、すぐカウント取ったんですよ。正確無比なことで知られる彼ですけど、頭の部分は彼自身の体の中にあるグルーヴなんです。それが体感出来ただけでも遥々来た甲斐がありましたね。で、無我夢中で演奏して、気がついたら約束の時間（25分！）。イエローマンのカリスマ性もまぶしかった。俺が次々と彼の曲のベースラインを歌って、彼がその上で生トースティングてくれて、一番好きなのは“Soldier Takeover”と伝えたら、凄く喜んでくれて。彼は間違いなくソルジャーですよ。あれだけの大病を患ってながら、弱みは絶対見せない。最近のライヴとか凄いじゃないですか。

レコーディング中も、あのレフト、ライト、という部分で俺を呼んで、肩組んで歌ったんです。リンバル・トンプソンは、もう“かっこいい兄貴”って感じであまりにもイメージ通りなんで逆にびっくりしました。彼もプロ中のプロでしたね。この曲も凄く気に入ってくれて、最後に『俺のアルバムもプロデュースしてくれ！』とか言い出して。日本に帰ってきてから、昔の音源と聴き比べてたんですけど、どっちがどっちかわからなくなるくらいで（笑）。“ジャマイカ行き”は、間違いなくこれからの指針になりましたよ。“自分らしいレゲエを追及する”という気持ちも新たに出来たんで。20年かかりでようやく理想のサウンドがわかった。そのためにやってきたことは無駄じゃなかった」
　
　最後にファンにメッセージをお願いします。
　
　「純粋な意味でのレゲエへの復帰は７年ぶりになるね。俺がいた頃のDry & Heavyで、一緒に成長してきた、あの頃のファンのことを忘れたことは一度もない。迎えに来たよ、と。俺が離れたこの何年間かの間に、日本のダブは生温いジャンルに成り下がってしまった。ダブはRebel Musicだったはず。もう一度、そこに立ち返らなきゃいけない。俺がやる と言った以上、必ずやります。ファンが誇りを持てるジャンルに必ず、またして見せますから期待していてください！」

"The Heavymanners"
The Heavymanners
[Victor / VICL-62952]