そちらが梅雨の間、こっちNYは猛暑で、ブラック・アウト(停電)やクーラーを巡っての電気屋での小暴動など、意外に脆い部分を見せていました。スポーツは、野球のオール・スター戦と女子ワールド・カップのメディアのみの空騒ぎ等と地味ですが、我が国の誇り、チーム・オーナーには″太った蛙″とまで言われたヤンキースのイラブが、連勝を重ねています。地元タブロイド誌「ポスト」の独断と偏見の成績表によると、彼はB+。ちなみに夏の風物詩でもある「サブ・ウェイ・シリーズ」と呼ばれるNY同士の対戦で、ヤンキースを破ったメッツの吉井はC―でした。この調子でワールド・シリーズで投げようぜ?

●今月のビーフ

 ラフ・ライダースとして、人気絶頂のロックスだが、FM局、ホット97の生放送でバッド・ボーイのパフ・ダディに向けて、契約解消を要求した。「Jiggy …」なんかで着た光モノのスーツは、自分達の意向では無く、パフのアイディアでコントロールされていたと苦情混じりのこの発言に、後に同局、モーニング・ショーに出演したパフ本人が、それで売れて今の自分達があり、誰も銃を突きつけてやらせた訳じゃないと応酬。更に契約を解消したいなら、何時でも良いと、あくまで余裕な態度。結局、ロックスの次の落ち着き先のレーベルが、バッド・ボーイから買い上げるしか方法が無いというのが現実なんだが、その後タイムリーに「PE2000」をリリース。スティーヴ・スタウトとも仲直りしたのに、なんか芝居掛かってないか?

 

●今月のコメディ

 もはや単純にコメディアンと紹介出来ないクリス・ロックのスタンド・アップ(主催はケーブルTV、HBO)がハーレムはアポロ・シアターで、HBOの為に公開録画された。毒舌でアメリカ政府、人種問題を常に突き上げる彼のスタイルだが、ヒップホップにも馴染み深い。今回のオープニング・アクトは、スリック・リックとダギー・フレッシュだった。ロック氏自身もアルバムをリリースしたばかりで、プロデュースは前回と同様、プリンス・ポール。ゲストにODBや、ビズ・マーキーが参加。タイトルは前述のショーと同じく『Bigger & Blacker』。その他映画出演や自身のトーク・ショー等多忙な彼だが、現代のリチャード・プライヤーになるか?

 

●今月のスポット(SPOT:場所)

 前にも紹介した、こっちの雑誌『On The Go』が主催するパーティが今度はイースト・サイドの205に移動。クラブ自体は日替りで違うジャンルの内容だが、このジャムのDJはゲスト有りで(殆ど週替り)、メイン・ストリームのクラブでは聞けないセレクションでアンダーグラウンドの灯を燃やし続けている。尚、『On The Go』のエスポ氏の本、『The Art Of Getting Over』も8月に出版が決定。NYグラフの現役を中心に紹介する内容となっている。取り寄せる方法など、詳細は来月にお知らせします?

●今月のノヴェルティ・ヒット(NOVELTY:辞書引いてね)

 『No Pigeon』やビギーの『Dreams』とかが、このノヴェルディ・ヒットなんだけど、そのビギーのアイディアをそのまま強盗に置き換え、ラッパー達やヒップホップ業界の人間を名指しでどの様に襲うという話のレコードを、トラック・マスターズのアーティスト、50セントがリリース。タイトルは『How To Rob』で、マッド・ラッパーをゲストに迎え、NYではヘヴィ・ローテーション中。しかし、これってストリートでのホラ話なだけで、まるで内容がないよな。でも現在のヒップホップのプレイヤー名簿になってるから、参考になるか?

 

●今月の写真

 デフ・ジャム・レコーディング・アーティストでもあるDJクルーだが、早くも次のアルバムの制作に取り掛かっている。今回は、ツアーに同行したデフ・ジャム・オールスターズを中心に、ノリエガ、モブ・ディープも続投らしい?