ザ・ベテラン。知らない人いないと思うが、日本のヒップホップ、ダンスホール、そしてクラブ文化の夜明けから活躍し続けているBoy-Kenが久々のソロ名義の作品、しかもミニ・アルバム『No Satisfaction』を自身が所属するV.I.P Internationalからリリース! サウンド面を取り仕切ったKang-Dongと共にインタビュー。Hotに語ってくれた。

制作期間はどれくらい掛かりましたか?
Kang-Dongスタジオに入っていたのは一ヶ月ぐらい。ただ、以前から準備はしていたので、どこから制作期間に入ったか、厳密には…どうだろう?
Boy-Ken:前々から、次にはどういう曲をやろうとか、どんなアーティストとコラボレーションしたら良いか、とか色々とアイデアは練ってあったからね。

一曲目のDennis Alcapone「Power Version」使いのインストで幕を開ける訳ですが、この狙いは?
Kang-Dong他の曲も色々と使えるかな、というものもあったんだけど、リリックが6曲目の「Sound Shower」とクロスオーヴァー、というかリンクする感じなので、これにしようと。

2曲目「No Satisfaction」はTwigy、K Dub Shineとのコンビネーションですね。気心の知れた人達との共演については。
Boy-Ken:一緒にやり易かったね。それよりも早く一緒にやりたかった。この二人のコンビは初めてだしね。二人のフロウとか、リリックの刻み方の個性の違いが良く出ていると思う。それとオレ達がV.I.Pとしてやる以上、今回はダンスホールのトラックに、オレとラッパーを乗せていこうと。Twigyもそれにバッチリはめてきてくれたし、K Dubもいつもより弾んだ感じに仕上がっていると思う。リリックはいつも通りだけど、いつもの様な“抜いた”スタイルとは一寸違うよね。実際に三人でやってみて、思った以上に各者のコントラストを上手く表現する事が出来たね。この曲は色んな現場で、ヒップホップ、レゲエ、ロック等々、ジャンルを問わずプレイされて欲しい。それが本作の一つの狙いでもあるし。

3曲目「Move Ya' Body」はRhymesterとのコンビで、これまた皆が喜びそうなチューンですね。
Boy-Ken:今回、彼らとは3回目のコンビネーション。最初は7、8年前の「知らない男」だから、長い付き合いだよね。以前からRhymesterの方からも熱く色々と言ってきてくれたし、何とか自分もそれに応えようと。やっと自分のソロ作品で頼めて、共演出来て良かった。

デビューの時期も同じくらいの時期でしたよね、Rhymesterとは。
Boy-Ken:大体そうだね。でもオレは「DJアンダーグラウンド・コンテスト」とかに出てたのは88年くらいだから、若干ズレはあるかな。彼らは昔から上手かったよ。人とは違う独特のスタイルを二人共に持っているし。それに今回は、以前の曲からの引用もちりばめて面白くなったね。ヒップホップ的要素の一つだけど。他にレゲエ的要素もちゃんと消化しているしね。
Kang-DongRhymesterは上手いしチームワークも良いので、作業もやり易かった。因みにこの曲ではV.I.Pホーンズの生音をフィーチャーしてムーディーなサウンドに。この曲に限らず今回、制作は全て日本で行っていて、これだけ出来るぞというのを見せたかった。海外のアーティストやスタジオに頼らずとも“Made In Japan”でこのクオリティって事をね。

4曲目「Worst Enemy」、素晴らしい内容ですね。
Boy-Ken:聞く人によっては重く感じるかもしれないけど。楽しいって事だけじゃないリアリティも歌いたかった。自分で自分を見つめ直す事の必要性をメッセージとして届けようと。誰だって弱いところは持っているけど、そこで諦めちゃ終りだしね。だから、若い人達にこそ聞いて欲しいね。

5、6曲目「Enjoy Yourself」「Sound Shower」は軽快なダンスホール・サウンドですね。ヒップホップのトラックとどっちがやり易いですか?
Boy-Ken:東京に住んでいれば自然と色々な音楽に接する訳でしょ。レゲエも色々な要素が自然に入り込んでくる音楽だし。自分としては、昔からどちらに対しても自然に接して来ただけだから。良いものは良いからね。ヒップホップだから、レゲエだからオレはダメって問題じゃないと思う。どちらのトラックでもオレは違和感は無いね、ホント昔から。どんなトラックでもやれるのがレゲエDJだと思うし。

 と、本当はまだまだ面白い話が続くんですが、あとは皆さん、自分の耳でCDを聞いて下さい。また本作からの12"シングルは、7月中旬にリリース予定。CDとは別ミックスらしいので、ご期待下さい。





"No Satisfaction"
[V.I.P / RREC-001]