MIX TAPE
1. DJ Kazz feat Jimmy / Through
(Puresand West)


前作『Frontier』がロングセラー・ヒットとなったレペゼン水戸の新世代DJ=カズ(元双龍)の新作。バトルDJとしてテクニックを、そのウエッサイなセレクションに盛り込んだプレイは、"Funky" というキーワードで語られて良いモノ。ギャングスタD-X、シャラ、ビッグボーイ(US)のシャウトも効果的に聞かせてくれる。また後半(裏面)担当のジミーは、DMC、Bボーイ・パーク、ブリッジバトルでも有名なターンテーブリストであり、そのネタ曲を掛け合わせたミックスも最高、の一言。ウエッサイ好きにはタマらん内容だ。

ALBUMS


2.DJ Kayslay / The Street Sweeper Vol.1 (Sony)


“ドラマキング”の異名で知られ、数々のビーフの後見人(?)となったハーレムのヴェテランDJ=ケイスレイの初アルバム。と言っても、自身の手によるプロダクションやミックスが施されたアルバムではなく、仕掛け人=プロデューサーとしてアーティストやビートのピックアップを行った、という今時な作品。去年プロモ(ブート)で話題になった50セントの「50 Shot Ya」や、8人のVIP級DJがラップする「The Champions」を始め、ナズ、エミネム、ノリエガ、モブ・ディープ、キャムロンらのエクスクルーシヴがズラリ。タイトルは彼のミックスショウでお馴染みのヤツ。
3. The Beat Kids / Open Rhythm System (Bad News)

アシェールやJライヴ、エル・ダ・センセイといった間違いないリリースでヒップホップ・ヘッズから絶大支持を受けているレーベル“7ヘッズ”が、あの鬼才ジンジ・ブラウンに続いて送り出したのは、この“アンクル・ジュニア”なる新部門からの初アルバムとなる4人組の“ビートの申し子”たち。“サースティ・イヤー”からソロ作も発表しているジャズ畑出身のギレモを中心に構成される彼らが様々な楽器を持ち寄って奏でるビート(おかしな表現?)は、既にフリー・フォームなモノであるが、このイノヴェイティヴさはヒップホップだ!とも言い切れる、というか聴いて欲しい!! サダト-Xの快演も光っている。
4. Freddie Foxxx / Konexion(Rapster / BBE)

MCズMC、怒れる巨人=フレディ・フォックスakaバンピー・ナックルズの新作は、噂通り "BBE" から。前作で“インダストリー叩き”を徹底的に行っていた彼の次なる標的は様々な方向に。本人曰く「2年かけて作ったのは、生き急いでいる様な奴等が多い今のシーンへの警告。俺はローリング・ストーンズみたいにジジイになっても通用するくらいサヴァイブした例になりたい」という想いすらこもったもの。DJプレミア、クラーク・ケントや彼の周辺のストリート・コネクションがキッチリ活かされた“これぞ男”な激烈盤。凄いぞ!
5. The D.O.C. / Deuce (Victor)

80年代のウエッサイ名盤について語るに絶対に欠かせないクラシック『No One Can Do It Better』('89)をプレイバックさせるジャケットに涙するオールド・ファン多し…な、もう存在するだけでOKなアルバム。その一作目でのリリカル・ギャングスタぶりはスヌープら後継者を生み、幾つものモンスター・アルバムに直接、間接的に関わってきた影の大物が遂に動いた。前作2ndでは、その事故でツブした声で全編ラップしていたが、今作は地元=ダラスで発掘したイキのいい若手が中心となり、そこにドレー、スヌープ、チューブ、ネイトドッグ、ベイビーら大物が絡む、という“彼”にしか成しえないタイプの豪華な内容に。
6. Prince Paul / Politics Of
The Business(Sanctuary / Antidote)


ある時はステッツアソニックの中心人物として、またある時はデ・ラ・ソウルのプロデューサーとして、またある時はハンサム・ボーイ・モデリング・スクールの学長として記憶に残る仕事の数々を残してきたプリンス・ポールのソロ名義では2作目となる新作。先のバンピーとはまた少し異なる手法で業界を批判するコンセプト・アルバムであり、チャック・D、アイス・T、チャブ・ロック、エリック・サーモン、グールー、マスター・エース、DJプレミア、Mr.レン、ファット・リップ、カーディナル・アフィシャルといったゲストのキャスティングも面白さを“彼らしい”恐ろしくバラエティに富んだ力作。ビート、スキット等にディープでユーモラス。
7. Go Forcemen / Super Heavy Weight
(Otokozawa)


紹介遅れで申し訳ない! あの“Goの字が付く三銃士”フル・アルバム。言うまでもなく特濃な男汁ヒップホップであり、これぞ王道。何食わぬ顔をして駒を進める勇士三人(ジャケ写参照。因に先頭のキャラクターは通称“ゴッチ君”)の“やり方”はこれまでのヴァイナルと何ら変わらない、というか揺らぎない。ストロング・スタイルのラップで、何度もリピートさせる魔力(リリックが付いていないのも良い)で気が付けば、その回転五輪地獄にハマってる人大多数。サンプリング・サブミッションを極めるビート・クリエイターたちも超強力。これぞチャンピオン・カーニヴァル! 必聴!!
8. Minesin-Hold / Boom !!!!!(走馬党)

ラッパ我リヤのサイドMCとしてライヴを盛り上げ、また数々のフィーチュアリング・ワークで“ソロ作”を待望視されていた、走馬党が自身を持って送り出すニュー・ヒーロー=ミネ神の初アルバム。我リヤ初主演作『3on3』のサントラに収録されていた「Boom!!!!!」とそのニュー・リミックス(手掛けるはミスター・ビーツ!)を中心にオジロザウルスの新作でのサウンド・キーマン=サブゼロ、DJタナケン、山田マン、ビーツ・レックスらのプロダクションで、硬案を演じ分け、余裕すら伺わせる大器ぶりも如何なく発揮。ひとアワ噴かせられること必至。
9. Revolution Recordings Presents Revolutionize / V.A.(Revolution)

B-Boyの祭典「B-Boy Park」の“MCバトル”でその名を広めたモトイや、ヒビキ、マイクバンク、ワードワークス、ルーディー・キッズ、横浜のビッグスウェル、ハイエナ、名古屋のゴリン、岡山のユース、と言った注目すべき次世代達が結集したコンピ。レボリューション・レコーディングスは『神髄』やテープ・アルバムでお馴染の信頼出来るレーベルであり、ここに並べられた楽曲も収まりがつかない位、様々なベクトルを持つものばかり。DJトンクが手掛けたモトイの一曲目から、単独作も出るマイクバンク等、聞き逃せない曲がズラリ。「探心音」はDJセロリによるバンド・ヴァージョン。

SINGLES
10. Super 7 / 殺しの序曲(第三ノ忍者)

現れてはキエる、その聞き手を煙に巻くような活動スタンスで、実はハイペースで作品をバラまいているCQ+マキ・ザ・マジック=キエるマキュウ。今回、突然投げられたシングルは、ライムスターとコーヘイ・ジャパンとの競演(そう、コーヘイ・ジャパンの1stの「夜の狩人」に続く“流れ”!?)で送るキョーレツな一発。敢えてどんな曲かは申しませぬ。想像力をタップリ膨らませてレコ屋へ走るべし。パンツ…もちパンチライン炸裂なのは言うまでもナシ。
11. Tha Blue Herb / 未来は俺等の手の中
(Tha Blue Herb)


実に1年ぶりとなるリリース。このEP(CD、アナログ同時公開)は、ブルーハーツのトリビュート・アルバムに収録される筈が、“カヴァーではない”との判断で外された一曲であり、またそのままオクラ入りするには勿体な過ぎるクオリティの一曲を収録したもの。彼らは、ブルー・ハーブのスタイルで、そのブルーハーツの「未来は僕らの手の中」から受けたスピリットを表現した訳で、それは立派なトリビュートとして成立している事は両曲を知る人ならば分る筈。ここに至るまでの気持ち、生活、闘いが刻み込まれた、という熱くならざるを得ない一曲。
12. Doberman Inc / The Bootleg E.P.
(D-ST.ENT. / KSR)


今一番勢いのある新世代グループにしてO-Town Finestの2nd『Mega City Five』に続くE.P。その“内訳”、超ポジティヴな新曲「Dog Year Full Throttle」(Pro.はWong Gun)に、2nd収録曲5曲の最新リミックス5曲。リミックスの方は、「No Love / Wake Up」を新たにフル・メンバーで録り直した、その名も「MC 5 Version」や、90年代中期のビート・ロック的プロダクションとバック・イン・ザ・デイズ的リリックが話題を呼んだ「O-Town Swinga」を今度はGファンク路線にし、新たに4WDを加えたり、また2曲を新鋭Precogood-Oneが手掛けたり、とかなり“一新”されている。Tsutaya独占販売なのでお早めに。