ダンスホール・レゲエ、グループ部門のトップ=T.O.K.。待望のセカンド・アルバム『Unknown Language』 は間違いなく今年の最重要作品だ。日本でも6月16日に緊急/先行発売が決定、どこよりも早く彼らの肉声をNYから直送する。



前作から4年、延期を重ねてのリリースですが、待った甲斐がある充実した仕上がりですね。おおよその制作期間を教えて下さい。
フレックス:ファースト・アルバムが終わった直後からのヒット曲を収録したから、ある意味、ずっとこのアルバムをやっていた、という感じだね。

思っていた通りの仕上がりですか?
フレックス:もちろん。T.O.K.がやることは全部トップ・クラスだからね。常に改善の余地はあるだろうけど、タイミングも大事だから、その時にベストだと思ったものを届けるしかないよね。

中学生の時からずっと仲良くしていられる秘訣は?
フレックス:いつもお互いを笑っていられること。最悪の状況でもなるべくいいところを見つけて何とか打開しようと考える。

今まで3人辞めたメンバーがいるようですが、最初はもっと大きいグループだったとか?
ベイ・C:いや、一人ずつ別々の時期にいただけだ。この4人がオリジナル・メンバーだし、ほかの奴らはあまり重要じゃないよ。

最初はクレイグ・Tとベイ・Cもシンガーだったんですよね?
ベイ・C:96年にスライ&ロビーがくれたリディムに自分達でどうやって声を乗せるか試行錯誤している時に、DJも入れた方がいいんじゃないか、って話になったんだよね。「Many Many」って曲だったかな。そこから今のスタイルになった。

DJとシンガーの組み合わせはタント・メトロ&デヴォンテやチャカディマス&プライヤーズといった二人組はいますが、4人はいませんでしたよね。ロック・ステディー期に遡っても3、4人はシンガーのグループです。
ベイ・C:そこに気が付いてくれて嬉しいよ。それに俺達は歌とDJで掛け合うだけじゃなくてハモれるし。

ワード21やヴォイス・メールといったフォロワーが出てきたことについては?
フレックス:ワード21は似ているってよく言われたけれど、最近は一斉に踊らせるタイプに集中しているから、変わってきたのかな。

ベイ・C:グループを維持するのは大変だから、リスペクトしているよ。こっちをディスしない限り、構わないね。

「Footprints」や「Wah Gwan」など、社会的なメッセージが強い曲が最近増えていますね。特に理由はありますか?
フレックス:「Wah Gwan」はボーグルが亡くなった時に、銃を置けっていうメッセージを込めて作った。その頃、ジャマイカでは本当に24日間に90人が殺された。その現実を曲にしたかった。

アレックス:「Footprints」も、俺のたった一人の弟が流れ弾に当たって亡くなったことをきっかけに作った曲だ。個人的にも思い入れがあるし、ほかの人にとってもパワフルな曲だと思う。

ベイ・C:最後のパートも本当の話なんだよ。日曜の夜にレコーディングする予定で、その日の午前中に教会から帰ってきた母親に知り合いが殺されたことを聞いた。それぞれのパートに元になる話があるんだ。

最近のラスタ・ブームの流行からもインスピレーションを受けています?
ベイ・C:俺は個人的にラスタに傾倒しているけど、曲そのものは特定の宗教と関係ない。俺達はいい格好をしようとか、説教をしようと思ったわけではなくて、現実を映し出す曲を作りたかっただけなんだ。

ここ2、3年で流行ったリディムを数多く収録していますが、やはりその点は重要視していますか?
クレイグ・T:最初はヒット曲とアルバム用の新しい曲を半分ずつ収録するつもりだったんだ。でも、ここ1、2年くらいヒットが続いたから、絞り込むのが難しくて、結局アルバム用の新しい曲は4曲くらいになった。でも、コアなファンもヒット曲をまとめて聴きたいだろうから、これがベストだと思う。

ジャマイカでシングル・ヒットを放ちながら、インターナショナルなステータスをキープをするのは大変なのでは?
ベイ・C:一番大事なのは、自分達がその時に本能的にやるべきだと思うことをやること。ツアーが続いた時、ジャマイカでいいトラックが出て来たらさっと戻って曲を作るようにしている。ジャマイカのシーンが熱かったら、半年くらいずっとそれをやっているしね。それを十分やったと思ったら、海外に行って他のジャンルのアーティストとコラボレーションをしてもいいけど、業界的にそっちに流れているからという理由ではやらない。他のアーティストの後追いはしないんだ。感じるままにやるのが自分達に対して誠実だし、ファンもそれが見たいんだと思う。それ以外の人があれこれ言うのに踊らされる必要はないよね。

 最後は、ショーン・ポールとエレファント・マンの次はT.O.K.だと、こちらの業界で騒がれたことに対する返答だろう。イメージよりずっと硬派な人達だ。日本では元より超人気者。本人達も「日本のファンは特別」と何度も言っていた。彼らの『Unknown Language』を、私達はきちんと理解しているのだから。


"Unknown Language"
T.O.K.
[Victor / VICP-63079]