新宿より中央線に乗り西へ約15分、西荻からすべてのルード・ボーイへ。オイスカルメイツのニュー・アルバム『Evil Taste 12 Pint』はスカやパンクのみならず、アイリッシュ、初期ダンスホール・レゲエとますます広がりを感じさせる傑作だ。ヴォーカルのワタルバスターとトロンボーン奏者ヒロシブラウンが、本誌インタビュー初登場!

 気がつけば、今年結成10周年を迎えるオイスカルメイツ。各々パンクやガレージ系のバンドをやっていたメンバーたちが、スカ・フレイムスのライヴに心底ヤラれてスタートさせたというのがバンドのはじまり。今や、東京でもっともカッコいいライヴ・バンドであると断言してもいい彼らは、実際に十代後半から二十代前半のキッズたちからも多大な支持も集めているが、実のところ、というか間違いなく、さまざまな音楽を通過してきた三十代以上、とくにパンクから入って2トーンに衝撃を受け、スカやレゲエを聴き漁るようになったという、まるで本誌O場編集長のようなミドル・エイジなルード・ボーイのツボをギュンギュンと突きまくるイカした音楽を奏でている。

 そんな彼らが、昨年8月と12月にそれぞれ6曲ずつ収録されたミニ・アルバムをリリース(前者が『Evil Taste Six Pint』、後者が 『Six Pint Evil Taste』)。これは2枚あわせてひとつのアルバム『Evil Taste 12 Pint』として成立する作品だ。もはや単なるスカ・バンドとは括れない、さまざまな音楽的バックグラウンド(あるいは多岐に渡る指向性)が反映されたサウンドは、バンドの表現の幅の広がりが感じられる充実ぶりだ。

ワタルバスター「でも、スカ・フレイムス観てやろうと思ったのが、こんなんなっちゃってるんだよ?(笑)」

ヒロシブラウン「他にも同じようなきっかけではじめた人はいっぱいいるだろうし、それがまさに似たようなカタチになってる人もいるだろうけど、俺らは出し方が違うだけで。オイスカにはパンクの人たちが多い気がするし、そういう人たちの(スカやレゲエの)捉え方を感じるし。面白い時はありますよ。ありえないんじゃないか?ってベースラインとか出てくる時とかあるから。そういうところでオリジナリティが出てると思うから」

 『Riddim』読者向けに言うなら、たとえば、初期ダンスホール・レゲエを彼らなりに解釈していくうちに、紆余曲折を経て思いも寄らない場所に着地しちゃったかのような「Teenage Heart」。この妙に居心地の良い居心地の悪さこそが、ロック・バンドらしいところであり、オイスカらしいところでもある。

ワタル「それはしょうがないよね。ドラムはマルちゃんだし、ベースはシムくんだし、ヴォーカル、俺だし(笑)」

ヒロシ「みんなそれぞれ得意なものとそうじゃないものがあるからね。よく耳にするのが、こういうのは何を聴いたらいいんすか?とか。そういう意識があるだけで充分だと思うから」

O場編集長「クラッシュのやるレゲエもそうだもんね。まぁ、彼らはもうちょっとちゃんとやろうとしてたんだろうけど(笑)」

ワタル「ただ、クラッシュの場合はプロデューサーにマイキー・ドレッドとかいたからそれなりに聞こえたのかもしれないけど、ライヴ盤で聴くとめちゃめちゃですからね。でも、それがカッコいいなって思ってたときもあるし」

ヒロシ「捉え方の違いっていうか。ジャズの人が弾くレゲエも違うし、レゲエの人が弾くジャズも違うし、ファンクの人が弾くレゲエも違うし」

ワタル「俺らも、音楽をすごく知ってるメンバー同士でやったら、また違うものになってると思うけど、それもどうかな?とも思うしね」

ヒロシ「もっと他のバンドならすんなり行くんだろうなっていうところも、俺たちだとあちこち曲がりくねりながら行ってて。それがオイスカルメイツだなっていうところが、いっぱいあるから。それは曲の作り方もそうだし、ツアーの組み方も、ライヴのやり方もそうだし、それがバンドのスタイルになってるから」



"12 Mates Skall-Niter Woo..."
[Dewphalanx / PX-069]
Release Date : 2001.12.24.

"Luvin' Side New Stomper"
[Dewphalanx / PX-092]
Release Date : 2002.12.24.

"Evil Taste Six Pint"
[Dewphalanx / PX-134]
Release Date : 2005.8.26.

"Six Pint Evil Taste"
[Dewphalanx / PX-139]
Release Date : 2005.12.24.